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「ゆっくり流産してねっ!」 1 「あっちぃーねぇ。」 「やめてよ、よけいあっつくなるわ。」 「じゃあ、さむ」 「寒いっていえば寒くなるなんてあほなことゆーなよ。」 二人の少女としえとあきがアイスを食べ、ぶらぶらとだべりながら川沿いの道を歩いている。真夏の太陽の光がさんさんと降り注ぎ、二人の肌からは玉のような汗が噴き出してくる。汗でべったりと張り付くTシャツにとしえは気持ち悪さを感じた。 「……これからどーする?」 「どーって、どうしようか。涼しいとこ、ジョスコかイヲンでも行く?」 「出た、ジョスコ。」あきの言葉にとしえは半ば馬鹿にしたように笑う。 「としちゃん、ひどっ。田舎にとってジョスコは聖地だよ?」 「はいはい。」 いま二人がいるのはあきの母方の田舎であるS県、T市である。県の中心から西に離れたT市は山に囲まれ、今でも多くの緑が残る自然豊かな場所だ。辺りには田んぼや畑がひろがり、二人の歩いている山間の道のそばを流れるA川の水も美しく澄んでおり、二人の住む街を流れる川と同じとは思えない。夏の陽さしが水面に反射してキラキラと輝いている。帰省するあきの家族に誘われ、としえもここにいる。 「さいしょはめずらしかったけどさ。」二人はサンダルを脱ぎ、足を川にいれてつかの間の涼をとる。 「あきには悪いけどさ、やっぱ田舎だわー。やることねーもん。」 「なんどもひどいなぁー、としちゃん。……でもたしかにやることないねぇ。」 「男子ならなんかあるかもしんないけど、うちら女子だし。」 「虫取りとか死んでもしないし。」 「さんぽするのいいけど、なんもないし、あっちーし。」 「そうだねぇ。」 ぱしゃぱしゃと水面をけり、水しぶきをあげる。しばらくの間辺りには蝉のうるさいくらいの鳴き声と、田んぼから聞こえるカエルの鳴き声、そしてあきがたてる水音が響いた。 「あっ、ゆっくりだ。」ふと、あきが声をあげた。 「どこ、あぁ、ほんと。」あき見る方向にとしえも目をむけると確かにそこには一匹のゆっくりれいむがいた。 「田舎にもいるんだぁー。」 「どこにでもいるんじゃない?こどもつくることしか能がないからねぇ。」 「……、てかさ、なんかでかくね?」 そのれいむは二人がいる岸を50メートルほどのぼったところにある木陰にいた。普通のゆっくりの大きさであれば、それだけ離れていればここからでは野球ボール大くらいにしか見えないだろう。しかし、どう見てもそのれいむはそれよりずっと大きい。 「たしかに。」そういうと二人は面白いおもちゃをみつけたようないたずらな顔を合わせた。 「行ってみるかぁー、暇だし。」 川のほとりから立ち上がり、濡れた足もそのままでサンダルを履き、二人はそのれいむのもとまで駆け出した。二人にとってはただの暇つぶし、れいむにとっては地獄のような苦しみの時間が始まるのだった。 2 「「でっけぇー!」」二人は意識したわけでもなく、同じ言葉を口にした。 「なにこいつ、ちょーでかいんだけど」 「まじだわ、1メートルはあるんじゃね?」 「たぶん、普通のゆっくりの何倍だ?あぁ、こいつがドスって奴?」 「違うと思うよ。ドスってまりさがなるみたいだし。」 「ふーん、それはいいけど、とにかくでっけーな、こんなでっかいの初めて見た。」 「うぅーん。ゆゆうっ、なんだかうるさいんだよぉ。」 木漏れ日が優しげにふりそそぐ最高のゆっくりプレイスでお昼寝をしていたゆっくりれいむが、ふわぁぁとあくびをしながら目を覚ます。 「ゆゆっ、にんげんさんだ。ゆっくりしていってね!」 寝ぼけまなこに二人のにんげんさんの姿をみとめると、まだ眠いのを我慢してれいむはごあいさつをした。 「「ゆっくりしていってね!!」 としえとあきも笑顔でゆっくりのあいさつを返す。 「ゆゆぅー、にんげんさんもとってもゆっくりしているね!!」 嬉しそうにれいむは答えた。よかったわるいにんげんさんじゃあないみたいだ。 「れいむもね。どうあまさまさん、飴しかないけど食べる?」 「ゆっ、あまあまさんくれるの?れいむあまあまさんだいすきだよっ。」 「そっかそっか、はい、じゃーどうぞ。」 「ありがとー、にんげんさん!とってもゆっくりできるよ、ぺーろぺーろ、……し、し、しあわしぇーー。」 にんげんさんからもらったあまあまさんのおいしさに全身で感動をあらわすれいむの傍らで、としえとあきは何事かを話している。 「…ゲスゆっくりじゃないみたいね。」 「飼いゆっくりでもないみたい。バッジないもん。ねぇ、れいむ」 「しあわしぇーー、ゆゆっ、なぁに、にんげんさん?」 「れいむはどうしてそんなに大きいの?」 「ゆゅ、どうしてかなぁ?」少し考えるように小首をかしげたあと「ゆゅー、たくさんごはんさんをむーしゃむーしゃするからだと思うよ!」と元気に言った。 「それはなに?山にそんなにたべものがおちてるの?」 「それもあるけど、おやさいさんもたべたりするんだよぉ。」 「なに、勝手に畑に生えてる野菜を食べてるわけ?」 「ゆゆぅー、ちがうよ。生えてるのはだめだけど、たべていいよっていうちいさいおやさいさんがあるんだよぉ。それにれいむはいまたくさんむーしゃむーしゃしなきゃいけないんだよ!」 「ふぅーん?そうなんだぁ。」れいむの答えを聞くとひそひそと二人だけで話し始めた。 「つまり、売り物になんないよーな捨てられた野菜をたべてるってわけか。」 「田舎の人はやさしいねぇ。でも積極的に世話してるってわけでもないみたい。むかつくねぇ、ゆっくりのくせに。ゆっくりしすぎだよ。」 「そんなゆっくりはさ…」としえがあきの耳元でぼそぼそつぶやく。「ふふっ、くすぐったい。」ばか、と言ってとしえはそんなあきの頬をつまみながら話を続ける。「こうするのはどう?」、「うわぁ、すっごく面白そう。」、「じゃあ、そういうことで。」、「おっけー。」 「れいむ。」あきがれいむに再び話しかけると同時に、としえはその場所から離れていく。 「なぁに、にんげんさん。もしかしてもっとあまあまさんくれるの?」 「うん、いいよ。でもその前に私たちと遊んでほしいの。」 「ゆっ、いいよぉ、なにしてあそぶのぉ」れいむはぴこぴこを左右のもみあげ震わせ期待に満ちた目であきを見る。 「それはねぇ、ぎゃくたいっていうの。」そんなゆっくりしたれいむの様子を見て、あきは満面の笑みで答える。 「ぎゃくたい?ぎゃくたいさんってなぁに?たのしいの?」 「うん、でもそれは私たちにとってだけね」 「ゆゆぅー?」その言葉になにか不穏なものを、はっきりとした形ではないがれいむは感じた。しかし、一方でもあまあまさんをくれて優しくしてくれたにんげんさんがひどいことはしないはずという気持ちもある。 「れいむぅー!」そんな 大きな自分のを呼ぶ声が聞こえた。声の主は先ほどここから離れたもうひとりのにんげんさんだ。なんだろうと思っていると、そのにんげんさんが叫びながらこっちに走ってくる。 「ゆっ、くっ、りっ、しっ、てっ、いっ、てっ、ねぇー」 「ゆゆゅ?にんげんさんもゆっくりしてい、ゆげぇぇええええええええええええ。」 ゆっくりのあいさつを言い終えることなくれいむはゆがんだ叫びをあげざるをえなかった。にんげんさんがこっちに走ってくるかと思うと、ぴょんと飛びあがり自分の頭をふみつけたのだ。 「ゆがぁぁぁあぁぁ、にんげんさんなにするのぉ、こんなおあそびれいむゆっくりできないよぉぉ。」 飛び乗られた衝撃で口から餡子を吐いてしまい、苦しげにれいむはにんげんさんにたづねた。 「へぇー、まだやめろぉーとか、くそにんげんがぁーとかいわないね。」 「ふっーん。田舎だからかな。」 「もぅー、としちゃんさっきから馬鹿にしすぎー」ぷんぷんと少し怒った声色をだすあきに、としえはごめんごめんと謝るしぐさをする。 「にんげんさぁん、きこえてるのぉ、こんなおあそびれいむたのしくないよぉ。」 「ばかだなぁ、さっきいったでしょ、あんたには楽しくないって。楽しいのは私たちだけ。」 「……ゆゆっ?」 「そんなこと話してたん?でも、まっ、ほんとーに楽しいのはこれからなんだけどね。」 としえはにやりと笑うと、れいむの左右のもみあげをつかみ、れいむを地面にあおむけになるような形で倒した。 「よいしょー。っあぁー、おもてぇー、でっかいだけのことはあるわ、このデブれいむ!」 すかさずとしえは倒したれいむの上に馬乗りになり、ぱぁんと鋭い平手をれいむの右頬にお見舞いする。 「きぃーてんのかよ、このでぶまんじゅう。」 「ゆゆうっ、きこえてるよぉ、きこえてるからゆっくりしないではやくやめてね!」 「ざんねんでしたー。やめませーん。おらっ。」あきはさらにもう一発今度はれいむの左の頬をうつ。 「ゆんやぁぁぁ、いたいよぉぉぉ、ゆっくりできないよぉぉぉぉぉぉぉぉ。」 「てめぇー、まんじゅうこのやろー。なんじ右のほっぺたぶんなぐられたら、」今度はあきの履いていたサンダルを手に持ってれいむの頬をうつ。 「さっさと左のほっぺもさしだせや、このくそまんじゅうがぁ!」としえはれいむの頬をぱんぱんぱん滅多打ちにする。 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラーッ!」 「ゆげぇ、ゆぎゃあぁあ、やめへっ、もう、」 「ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラーッ!」 「ゆへぇ、ゆっ、ゆぎゃぁ、くだっ、さいっ、もうやっ。」 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁー」 ゆっ、ゆゆっ、やべえ、ゆげぇと頬を張られるたびに短い悲鳴をあげ、同時に口から少量の餡子とよだれをはきだす。痛みのせいで目からは涙が流れ続け干からびてしまうかと思うほどだ。その様子を見るあきが笑顔で息きれないのっと笑ってみていた。 3 「おらっ、どうだれいむ?」 それからもう何十回、いや何百発れいむの頬を張ったのだろうか。今やれいむは頬を叩かれてもびくりと体を震わすだけで、泣き叫ぶこともしなくなった。としえのほうはさすがの体力に自信のある彼女もさすがに息を荒くし、体中から汗がふきだしてTシャツを濡らしている。しかし、先ほどとは違ってその流れる汗も心地よい。一仕事終えたような達成感に包まれているためだろか。ゆっくりいじめに達成感って、とつい自分でも内心苦笑してしまう。 「お疲れ様。」 ふいにとしえの首筋にヒンヤリとした感覚が走る。あきがはいっと、としえの首にあてたジュースを差し出す。 「おっ、さんきゅー」 「どういたしまして。いやぁ、でもすごいねぇ」 何百回も打たれ続けたれいむの両頬、いやその体は血が通っていないにも関わらず真っ赤になっている。口には漏れたあんことよだれでぐしょぐしょになり、顔には流した涙の跡がはっきり残っている。としえに馬乗りになられたままのれいむ既に気絶しているのか、それとも痛みで動けないのかぐったりとし荒い呼吸を繰り返している。 「でしょ、体がでっかいからちょー叩きがいがあったわ。」 「そうだね、普通のゆっくりだったら死んでるかも。」 「うん、でもさ、見てみ?」としえはれいむの頬を指差す。 「もし拳固でなぐってたらもう皮から餡子が出てると思うんだけどさっ。」 「うん?」 「平手で打ち続けたからそんなに皮もやぶれてないっしょ?」 「ほんとだー。」 「でも、その割に体の中自体にダメージは与えられたと思うんだけど。…ほら、れいむっ!」 としえはれいむの口に飲んでいたオレンジジュースを流し込んでやる。 「……ゆぅぅぅ、ゆんやぁぁぁぁぁっぁぁぁ、もうやめてくださぃぃぃぃぃ。」 目を覚ましたれいむは叫び声をあげるが、すぐにうるさいと叩かれた。 「ゆぅつ、ゆぇ、ゆぇえぇ、どうしてぇ……。」 「あん?」 「どぼちてこんなことしたのぉぉぉぉぉ、れいむなにかわるいことしたぁぁぁ?あまあまさんほしがったせいですかぁぁぁぁ?したならあやまりますからぁぁぁ、もうやめてくださぃぃぃぃぃぃぃぃぃ。」 「いやぁ?べつになんもしてないけど?ていうーか、あんたなんかしたっけ?」 「……ゆっ?わからないよぉ、ならどうしてこんなひどいことしたのぉぉ?」予想外の答えにきょとんとするれいむ。 「いや、やることなかったから、暇つぶし、みたいな?あんたみたいなでっかいゆっくりはじめて見たし、なんかたたきがいありそうだなぁーって。」 「ひっどー、まじ鬼だわ。て、見てたわたしもだけど。」あきはクスクスと二人のやりとりを見て笑みをこぼしてしまう。 「でも、もう飽きたわ!」笑顔でそう言い放つと、としえは馬乗りになったままであったれいむから降りた。 「…………。」 「別に殺すつもりはないからさっ、もうどこにでもいけば?」 「ヤリ捨てってやつだぁー、あきちゃんまじレイパーだよ。」 「聞いてる、れいむ?もう視界から消えて、うざいから。」 うつむいたままで二人の言葉を聞いていたれいむが急にぶるぶると体を震わせたかと思うと、二人に向かい叫んだ。 「このぉぉぉぉぉぉ、くしょにんげんがぁぁぁっぁぁぁ、なにがひまつぶしだぁぁぁぁ、 こんなくずはせいっさいしてやるぅぅぅぅぅぅ!」 としえに向かい渾身の力をこめ、体当たりしようとするが、悲しいかなしょせんはゆっくり。ゆっくりの動きが人間の速さを凌駕することはない。ましてこのれいむは1メートルを超すような巨大ゆっくりである。どんなに自身が速く動いているつもりでも決して二人に追いつくことはない。 「にげぇるなぁぁぁ、ゆっくりしないでさっさとせいっさいされろぉぉぉぉぉぉ!」 「うわぁぁ、こわっ、れいむまじおこぷんぷんまるなんだけど。ゲスになったの?おお、怖い怖い。」 「ていうか、ムカ着火ファイアーじゃない?ほらほら、ゆっくりしないで早くこいよ。」二人はおにさんこちらのように手のひらを鳴らしてれいむを挑発する。 「こんのぉぉぉぉぉ、ばかにするなぁぁぁっ!………ゆっ!」 原住民のような、まるでゆっくりに似つかわしくない叫びをあげて二人を追っていたれいむが急にその動きを止める。 「あれ、どうしたんだろ、急に止まったよ、あいつ。」 「わなじゃね、なにか企んでるとか。」 「かなぁ?いやっ、なんか違うみたい。」 よく見るとれいむは粘着質な汗をかきながら顔をひきつらせ、自身の体にむかってなにか話している様子だ。 「だめだよぉ、あかちゃん、まだでてきちゃだめだよぉぉぉぉぉおぉ。」 「どうしちゃったの?」 「ゆっ、くそにんげんがぁぁぁぁ、ゆっくりしないではやくきえろぉぉぉぉ。」 「追いかけてきたり消えろって言ったり、忙しいやっちゃな…。れいむー、あかちゃんが産まれそうなのー?」 「そうだよぉ、赤ちゃんまだおかあさんのなかにいなきゃだめなんだよぉ。まだうまれるのははやいからねぇぇぇぇぇ」 「ふーん、あんたの体のなかに赤ゆっくりがいて、そいつは産まれたらすぐ死んじゃうような未熟児ってわけなんだ?」 そのあきの言葉を聞き、としえはにんまりと笑う。そして、痛みで動くことのできないれいむに近づき、おもむろにその腹を蹴った。 「ゆっ、やめろぉぉぉ、ばかなのぉぉぉぉ、赤ちゃんがでてきちゃうでしょぉぉぉ。」 「いんだよ、流産しちまえ。」そういうと今度は何度も執拗にれいむの腹を蹴りあげる。 「りゅうざん?」 「そうだよ、予定よりはやくうまれちゃうことを流産っていうんだよ。おまえみたいなくそまんじゅうの子供なんか生きてたってしかたないからさ。」 まるで猫がネズミをいたぶるかのような目をして、それでいてとても優しげな声で言う。 「ゆっくり流産してね!」 としえに蹴りに合わせるかのように、あきも囃子声をあげる。 「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」 「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」としえもれいむの腹部を蹴るたびに声をあげ始めた。 「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」 「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」 「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」 「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」 そんな声にかこまれたれいむ。 「やめろぉぉぉぉ、だまれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ、あかちゃんだめだからね。おかあさんはあかちゃんをりゅーざんしたりしないからね。」 「さっさとながれろよ!おらっ!」続けてれいむの腹を蹴る。 「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」 「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」 「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」 「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」 れいむは二人の呪いの言葉をまるで人間が耳をふさぐようにして両方のもみあげを顔に当てる。 「やめろおぉぉぉぉ、やめろぉぉぉぉぉぉぉ、やめろぉぉぉぉぉぉぉ。………ゆっ?」 叫ぶために力を入れてしまった、まさにその瞬間まむまむから嫌な感触がれいむの体に走った。 「ゆっ、ゆっ、ゆんやぁぁぁぁぁぁぁぁ、おちびちゃぁぁぁぁっぁぁぁん、うまれてきちゃだめっていったでしょぉぉぉぉぉぉ。りゅうざんしちゃったよぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!」 「ゆゅ、ゆやぁぁぁ」 未熟な体で―眼も口もはっきりしない、髪の毛もほとんんど生えておらず、かろうじてお飾りの形からまりさ種とわかる―生まれてしまった赤まりさが苦しげに小さなうめき声をあげる。 「あかちゃぁぁぁん、ゆくっりしていってね、ゆっくりしていってね!……いってね、ゆっくりしてねっていってよぉぉぉぉぉぉ。」 未熟児赤まりさはれいむのほうを見ようとするが、体を動かすこともまともにできないのだろう、コロンと転がったかとおもうと、そのまま短い間隔で体を震わせる。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ……。」 始めから小さかった声がまるでろうそくの炎が消えるかのようにどんどん小さくなっていく。そしてついにうめき声もあげなくなり、未熟児赤まりさはゆっくりすることなく―そもそも意識があったかすらわからないが―死んだ。 「いっぇーい、りゅうざん成功―。」 「死んだまりさにかんぱーい!」 その様子を見て、としえとあきはぱんと小気味のよい音をたてハイタッチをする。 「ねぇ、れいむ、いまどんな気持ち?りゅーざんしちゃっていまどんな気持ちぃ?」 「赤ちゃんをりゅーざんするなんて、れいむはさいってーのお母さんだね!赤ちゃんもあんたみたいなくそおやに育てられなくなってよかったね!」 二人はくるくるとれいむの周りをまわりながら、声をあげる。 「さいてーのくずおや?……れいむはくずなおやなの?」 自分の子供の死を受け入れられず、呆けていたれいむが二人の声に反応する。 「そうだよっ、自分の子供も守れないなんてさいってーだよ。」 「そうそう、さいってー」 「れいむはさいってー、りゅうざんして、こどももしなせるようなくずゆっくり…。」 「わかってんじゃーん。そうだよ、このク、ズ!!!」 「………ゆへぇぇぇぇぇ、そうです。れいむはくずです、くずなゆっくりです、赤ちゃんをころしたさいってーなゆっくりです……。ごめんねぇ、赤ちゃん。こんなくずからうまれてごめんねぇ。ごめんねぇ、ごめんねぇ、ごめんねぇ、ごめんねぇ、ごめんねぇ。」 「あらら、壊れっちゃたねぇ。」 「うん壊しちゃったねぇ。メンタル豆腐すぎ。そんなんじゃ、平成の世は生きていけないよー。」 赤ゆっくりの死骸を前にして、目の焦点もあわずよだれをだらだらと流しながらぶつぶつごめんねごめんねとつぶやくれいむをみて二人は顔を合わせた。 「……でもっ、まっ、ゆっくりがどうなっても知ったこっちゃないかー。むしろこの世からごみが消えたみたいな?」 「そうだねぇ、そろそろ日も暮れてくるし帰ろうっか。」 「帰ろうっか、今日のご飯なんだろうね?」 「お寿司とってくれるっていってたよ。」 「まじで、やったー田舎サイコー!」 「現金だなぁ。」 としえの変わり身の早さにあきはついつい苦笑してしまう。そして楽しげな様子で二人は家路についた。 いつの間にか空はオレンジ色の見事な夕焼けに染まっている。その光が壊れたれいむの体ににもオレンジ色に染め上げる。れいむはいつまでもぶつぶつと赤ゆっくりの亡骸のまえで謝り続けていた。 選択肢 投票 しあわせー! (86) それなりー (19) つぎにきたいするよ! (55) 名前 コメント すべてのコメントを見る
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ゆっくりいじめ系575 ゆっくり大戦(YW) の設定を勝手に使ってます。 この作品は、基本的にゆっくり国防軍兵士の一人称視点です。 超短いです。 鍵かっこが付いてないのはこのゆっくり国防軍兵士の心の声です。 いつからだろう。こんな事になったのは。 元はと言えば全部あいつのせいだ。 あいつが戦争なんて始めるからいけないのだ。 何が、「祖国のために血を流せ!」だ! 私には、愛するまりさが残ってるというのに。 かわいいかわいい子供だっているのに… まだ仕事も残ってるし、作物の収穫も終わってなかったのに…! 「おいおまえ!いつまで塹壕にいるんだぜ!はやくてきじんちにとつげきするんだよ!あくしろよ!」 …ちっ… しょうがない…そもそも家にはろくな金もない。 いっそ敵からうばえばいいのだ。 だから私は今日も戦闘に参加する。 決して国のためなどではない。 「で、で、でたぁぁぁぉ!!!てきのじゅうばくげききだぁぉぁぁぁ!!!!」 「ばびぶべぼおおおおおおお!?!?!?」 あの爆撃機だって、戦車だって、爆弾だって、 戦艦だって、全てゆっくりじゃないか。 なぜこんなことをしなくちゃ行けない。 ああ、愛しのまりさよ… どうか加工されて戦車にでもなってなければいいのだが… 「み、みかたのせんしゃがきたよおおおおおおおお!!!!!」 「これでひとあんしんだよおおおおお!!!!」 がばぁ! あ、あの戦車は…! ま、まりさ!? そんな…冗談のつもりがほんとになっちまった… こんな事するなんて…!許せない…! 「おいおまえ!いつまでぼーっとつったってるんだよ!!!はやくぜんせんに…」 「………せえ」 「ゆ?」 「うるせえよおおおおお!!!!!!」 「こ、このまりささまにむかって… うるせぇだとぉッ!?」 「しね!しね!こんな事する戦争と上層部と幹部はゆっくりしないでしね!」 「ゆが!や、やべでええええ!!!!あやばりばず!あやばりばずがらぁぁぁ!!!ばりざのだいじなぐんじょうざんもあげまづがらぁぁ!!!」 「しね!しね!ゆっくりしないでしね!」 「や…やべで…」 「しねぇぇぇぇぇ!!!!」 グシャッ! はぁ、はぁ、ついに、遂にやった!あの偉そうな上官を遂に殺した!あとは敵のれいぱーだけだ! 「んほぉぉぉぉぉぉ!!!!ありすとすっきりしましょぉぉぉぉ!!!!!!」 「黙れ!お前はこれでしね!」 「あ゛り゛ずの゛どがい゛ばな゛べに゛べに゛がぁ゛ぁ゛ぁ゛」 「ありすはゆっくりしないでしね!」 「ごの゛い゛な゛がも゛の゛お゛お゛お゛!!」 れいぱーなんかゆっくりしないでしね! でも…こんなことしたって家には帰れな… 「みんなー!そこまでだよー!」 「「「!?!?」」」 「もう戦争は終わったよー!はやく国にかえるんだよー!」 「「「やったぁぉぁぁぁぁ!!!!!」」」 ポカーン(・o・) こうしてれいむは、国に帰ることになった。 「ただいまー!れいむがかえってきたよー! あかt」 「おがぁじゃぁぁ!!だずげでええええ!!」 「みゃみゃー!ひちょりでかりできたどー!」 「うー!れみりゃのおちびちゃんはてんさいだどー!」 は? 「…おいやめろ…」 「うー?こんなところにもえさg」 「やめろっていってんだろうがぁぁぉぁ!!!!!!」 「ぶぅぅぅぁ!!!ちゅぶれりゅぅぅ!!!ざぐやぁぁぁぁぁ!!!!」 「れ゛み゛りゃ゛のがわ゛い゛い゛ごども゛があ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「おまえみたいなやつはさっさとしねぇぇぇ!!!」 「ちゅぶ!ちゅぶりぇりゅううううう!!!!」 「や゛べでえええええ!!!」 「おまえもしねぇぇぇ!!!!」 「ぼっど、ゆっぐ…」 「そうはいくかぁぁぉ!!おまえはしぬまでうんうん奴隷だぁぁぁ!!!」 「うんうんどれいはゆっくりできないんだどおおおおおお!!!」 終わり
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下拵え 27KB 虐待-いじめ 野良ゆ 赤子・子供 作中の各種設定はテキトーです。 寒空の下。 男が公園のベンチに座って、もそもそとあんまんを食べていると、一匹のゆっくりれいむがやってきた。 「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」 れいむは元気よく男に挨拶した。 「はあ」 男のただ吐息に声を乗せただけの挨拶は、れいむのお気に召さなかったようだ。 「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!! れいみゅはれいみゅだよ!」 さっきより元気な声で挨拶してきた。自己紹介付きだが、それは見れば分かる。 れいむは男の顔をじっと見つめ、リアクションを待っている。実に自信満々といった顔つきだ。 「ゆっくりしていってね~」 今度は男も挨拶を返す。語尾を間抜けに伸ばしたその挨拶にも、しかしれいむは満足してくれた。 「ゆっ! おにいしゃん! れいみゅ、ゆっくちおねがいしゅるよ!」 「なんだ?」 暗に「予想はつくけどな」という含みを持たせた問いかけだったが、れいむはそれに気づかない。 果たして、れいむは男の予想通りの答えを返した。 「れいみゅにあみゃあみゃちょうだいにぇ!」 この手の野良ゆっくりの欲しがるものといえば、おおむね食べ物か住む所だ。 金品を要求する小生意気な奴も、いるにはいる。ただそういう連中は、芸を人間に見せたり、人間の手伝いをするなどして、その対価として代金を受け取っている。いわば殊勝なゆっくりと言えた。 このれいむは単純に甘いものが欲しいらしい。具体的には男が食べている、いまだホカホカのあんまんだ。 男はあんまんを見つめ、しばらく思索にふけった。 「どうちたの、おにいしゃん! れいみゅのおねがいきいちぇにぇ!」 れいむが催促してきた。 ややあって、男も口を開く。 「――そうだな。えーと、おまえ、何か得意なことはあるか?」 「ゆっ? とくいなこと?」 「そう。たとえば――おまえらの仲間にまりさってのがいるよな」 「まりしゃはれいみゅのおとうしゃんだよ!」 小さく頷き、公園内の池を指差して男が続ける。 「そのお父さんと同じまりさが、たまにあの池で遊んでるんだよ。この寒い中でも、わざわざ帽子に乗って水に浮かんで」 「ゆっ! おとうしゃんはぷーかぷーかできりゅよ!」 父親が褒められたようで嬉しいのか、れいむが自分の手柄のように胸を張った。 「あれ、すごいよな。自分や家族の、生活とか行動の幅が広がるっていうかさ――で、れいむはそういうことできないのか?」 「できにゃいよっ!」 即答だ。しかも胸を張っているのはどういうわけか。 「ぱちゅりーは頭がいいんだろ? ありすってのは、たしか都会派なコーディネートが得意なんだっけか」 「おにいしゃんはくわちいにぇ! ゆっくちしちぇるよ!」 「ありがとう――で、れいむには何か得意なことはないのかと、そう聞いてるんだよ」 「ゆ? ゆゆっ?」 れいむは困惑している。男が何を言いたいのかわからないのだろう。 「れいむの得意なこと。まりさたちのように、特に他者の役に立つようなヤツな。それを今から見せてくれ。それに俺が納得できたら、このあまあまを少しだけわけてあげてもいいぞ」 「ゆゆう~っ?」 「その代わり、納得できなかったらコレね」 男は右手の中指を親指で弾いて見せた。いわゆるデコピンだ。 デコピンといえど、子ゆっくりにとっては結構なダメージになる。それでも、 「わかっちゃよおにいしゃん! れいみゅ、とくいなことをみしぇるよ! ゆわーい、あみゃあみゃ! あみゃあみゃ!」 あまあまの魅力に眩んだ目には、デコピンの恐怖は見えていないらしい。れいむは了承した。 それでも、本当はすぐにでもあんまんが食べたいらしい。れいむの口から思わず本音がこぼれる。 「……でも、しゅこしめんどくちゃいにぇ」 それを聞いた男は、 「確かにな。でも、うまいものを食べる下拵えだと思えば……」 と呟いた。 それはただの独り言だったが、れいむは励ましの言葉だと受け取ったようだ。 「ゆっ! れいみゅ、ゆっくちしたごしらえしゅるよ! えい、えい、ゆー!」 元気に声を上げた。 「じゃあ、さっそく見せてもらおうかな」 「ゆっ! じゃあいきゅよ! れいみゅ、ぴょんぴょんしゅるよ!」 おもむろに飛び跳ねるれいむ。得意げに男の顔を見ている。 その額に狙いを付け、男はデコピンした。宙にいたれいむは、着地を失敗して顔面から地面に落ちた。 「ゆべべっ! なにしゅるの、おにいしゃん!?」 「ふざけてんのかバカ。それはおまえ――れいむ種だけじゃなくて、ゆっくりみんながよくやる動きだろ?」 男の意図がよく伝わってなかったのだ。 「でもぱちゅりーはできないよ! れいみゅのほうがじょうずだよ!」 「駄目。そもそもぴょんぴょん跳ねるだけなら、ノミの方がよほどすごいぜ。お前の得意なことってのは、ノミ以下のチンケなものなのか?」 「ゆがーん! のみしゃんいかああああああ!?」 ちっぽけなノミより格下と見なされて、れいむはショックを受けたようだ。そのショックは自ら発した効果音だけでなく、大きく開かれた目や口からも伝わってくる。 「おまえを含めてれいむならでは、ってのを見せてくれよ。それとも得意なことなんてないのか?」 「ゆ、ゆっくちりきゃいしちゃよ! こんどはうみゃくやりゅよ!」 そう言って、今度は体を伸び縮みさせはじめるれいむ。 「のーびのーび―……いぢゃいいっ!? やめちぇにぇ! やめちぇにぇ!」 男はあんまんを食べながら、二度三度とデコピンを食らわせた。 「だからそういうのは駄目なの」 「とくいなことをみせたけっかがこれだよ! おにいしゃんはわがみゃみゃだにぇ!」 「まだわかってないのかこのバカ。だいたい、それが何の役に立つんだよ。伸びるだけならパンツのゴムの方がよほど便利だぜ」 「ゆ? ぱんちゅ、しゃん?」 れいむはパンツの意味を理解していないようだ。この挑発は無駄だったか。 男は溜息をついてから、優しく言う。 「いいか? お父さんがまりさってことは、お母さんはれいむだよな? たとえば、お母さんは何が得意だ?」 れいむ種にも特技はいくつかある。中でも定番なのは―― 「ゆっ! おかあしゃんはおうちゃがじょうじゅだよ! れいみゅもおしえてもらっちゃよ!」 そう、歌だ。道端で歌を歌って金を稼いでいるゆっくりも、圧倒的にれいむ種が多い。 「それそれ、そういうのをやってくれって言ってるんだよ」 「ゆっくちりきゃいしちゃよ! れいみゅ、ゆっくちうちゃうよ!!」 「おお、やれやれ」 男が拍手をすると、れいむは歌い始めた。 「ゆっくちのひ~、まっちゃりのひ~」 「……」 「しゅっきりのひ~、ゆゆゆのゆ~」 「……」 目を閉じて気持ちよさそうに歌っている。 男は中指を引き絞り、より強めにデコピンをした。 「ゆゆゆ~――ゆぎゃおっ! ……ゆわーん! いぢゃいよおおお!! れいみゅちゃんとうちゃっちゃのにいい!」 「駄目。聞くにたえない。ヘタクソだなあ、おまえ」 男も予想していたことだったが、れいむの歌は雑音にしか聴こえなかった。これではとても金を稼げないだろう。通行人に踏み潰されるか、加工所や保健所に通報されるのがオチだ。 役に立つどころか、むしろ死期を早める行為と言える。 だが、れいむは納得いかないらしい。 「ゆっ!? おにいしゃんはしちゅれいだにぇ! れいみゅのおうちゃは、おかあしゃんだって『てんしさんのようなうたごえだにぇ』ってほめちぇくれたんだよ!」 「へえ」 それは子どもに気持ちよく歌ってもらうための、人間の親も使う方便だったとしか思えない。もっとも、このれいむの歌がゆっくり的に上手いのかどうかなど、男に、人間にわかりようもないのだが。 人間でも素直に美しいと感じる歌を歌うゆっくりもいるが、それは極少数だ。 そうとわかっている上で、男は言った。 「はっ、おまえンちはお母さんもバカなのか? それは歌じゃなくて雑音って言うんだって、だいちゅきなおかあしゃんに教えてやれよ」 その言葉に、 「ゆゆうううっ! ぷんぷん! おんこうなれいみゅもおこっちゃよ!」 れいむが怒りだした。 自慢の歌と、それを認めてくれた母親を貶されては、さすがに我慢できなかったようだ。 「おにいしゃんはゆっくちあやまっちぇにぇ! ぷきゅうううう!」 れいむは頬に空気を溜めて男を威嚇する。 キリっとした眉毛に、男を射抜かんとする鋭い視線。普段のニヤけ具合が嘘のようにきつく結ばれた口元。それぞれのパーツだけを切り取ってみれば、りりしいと言えないこともない。 それを見た男は、右手の人さし指と親指を使って、パンパンに張ったれいむの頬を挟んだ。 男がその二本の指に少し力を入れると、れいむの口から、 「ぷしゅるるるるるる!」 というれいむ自身による効果音とともに、頬に溜まった空気が吐き出される。 「るるるううううう――ゆ? ゆ?」 空気と一緒に怒気も抜けたのか。きょとんとするれいむの眉間に、男はデコピンを見舞った。 「いぢゃいっ!」 ころんと、れいむは仰向けに転がった。空を見上げて目をぱちくりさせている。 「そういうのは駄目だってば。『ぷくー』はれいむだけが得意なことじゃないだろ」 男は空とぼけて言った。 「ちゃんとれいむ種だけが得意なことを見せてくれないと。しかもその、『ぷくー』だっけ? 恐くもなんともないな。その辺のアリンコの方がよほど恐いぜ」 男の言葉に、れいむは体を起こして抗議する。 「れ、れいむのぷきゅーは」 「知ってる。アリンコよりも弱っちいんだよな。さ、はやく得意なことをみせてくれないと、あまあまがなくなっちゃうぞ?」 れいむの言葉を遮り、男はあんまんの端をチビリとかじった。 「さあ、お次は何かな? ぱちゅりーの超天才的頭脳や、ありすの都会的なハイセンスに匹敵する特技を、俺に見せてくれ」 男は口から出任せを言いながら、れいむの目の前にあんまんをちらつかせる。 「ゆゆ~ん! よだれがじゅーるじゅーる!」 その香りに鼻腔をくすぐられたのか――鼻などないが――れいむの開きっぱなしの口からは、だらだらと涎がたれている。 このあんまんは、甘さはもとより、風味や旨味も申し分無い。他のメーカーには出せない味が好評を博している。男もお気に入りの一品だ。 「……ゆっ! れいみゅはこそだてがとくいにゃんだよ!」 確かにれいむ種の子育てには定評がある。れいむ種から産まれ、育てられた子どもたちは、とてもゆっくりと健やかに成長するというのだ――もちろん例外もいるが。 そして昨今ではその例外が多くなってきている。 それでは、目の前のれいむはどうなのか。 「はあ。でもれいむ、お前、子どもいるのか?」 赤ゆっくり言葉も抜けていないれいむだが、子育てをしたことはあるのだろうか。 男が当然の疑問を口にすると、 「ゆっ? れいみゅにおちびちゃんがいるわけにゃいでちょ? みてわからにゃいの? ばきゃにゃの? ちぬの?」 れいむは蔑んだような表情と口調で言った。ニヤニヤという擬音が聴こえてきそうだ。 男はおもむろにれいむを持ち上げ、山なりに放り投げた。 「ゆわーい! おしょらをとんで――ゆべべっ!」 またもれいむは顔面から地面に落ちた。先ほど以上の強い衝撃に、顔が内側にへこみ、しかしすぐに元に戻った。 「ゆぐっ……ゆわああああああん! おかおがいちゃいよおおおお!! ゆんやあああああああ!!」 男は息を吐いて気持ちを落ちつけた。別にれいむに暴力を振るうことが目的ではないし、何よりルール違反だ。 「おまえ、それは『れいむのバカさ加減はもはや特技だよ!』って言ってるのか?」 「だっで、だっでえ! おかあしゃんは、ゆっぐ、こそだてがとくいだっていっで、いっでだがら! ゆっぐ、ゆっぐ!」 しゃくりあげるれいむ。 男は溜息をついて、 「お母さんは子育てが得意なのかも知れないけど、おまえ自身ができなきゃ俺は見せてもらえないだろ? 見せてもらえないとあまあまもあげられないんだよ。俺の言ってる意味、いい加減わかったか?」 ゆっくりとした口調で言った。 「ゆっぐ! れ、れいみゅ、ゆっくちりきゃいしちゃよ! ゆふふ!」 愛想笑いを浮かべているれいむ。 それを見て、男は口元を歪めた。 「理解しているのかも怪しければ、おまえの母親が『子育てが得意』だってのも怪しいもんだな。ええ、おい」 努めて意地の悪い口調で言うと、 「しょ、しょんなこちょにゃいっ!!」 れいむはムキになって反論した。 「けっきゃいっ! だよ!」 土管型の遊具の前で、れいむは得意げに言った。 土管の中に出入りして楽しむための単純な遊具。れいむの背後とその反対側に開いた口には、それぞれ短い木の枝が一本立てかけてある。れいむの手によるものだ。 「ゆふん! これでどかんしゃんのなかにははいれにゃいよ! れいみゅのけっきゃいっ! にかんしんしたならあみゃあみゃちょうだいにぇ!」 主に巣穴を守るために使われるれいむ種の『結界』。そのもっとも極端かつ単純な形が、巣穴の入口を塞ぐように木の枝を、あるいは草や石ころを置くというものだ。 巣穴に見立てた土管にれいむが張った『結界』が、まさにそれだった。 こうすることで、他のゆっくりに襲われることはおろか、そこに巣穴があることにすら気づかれないらしい。たとえ木の枝の隙間から『結界』の中が丸見えだったとしてもだ――今、土管の中が男から丸見えなのと同じように。 「ふん」 男は鼻を鳴らし、れいむの後ろにポツンと立てかけられている――土管の天井まで届いてもいない――木の枝を取り払い、へし折る。針金のような枝は、乾いた音を立てて二つになった。 そして、これ見よがしに土管の中に手を出し入れさせる。 「ゆわあああああっ!? おかあしゃんじきでんのれいみゅのけっきゃいっ! がどうちてやぶられるのおおおおお!? どうちてえええええ!? ――ゆびぇえっ」 男が律儀に木の枝をどけるまでもなく出入り可能だった『結界』。それが破られたことが、よほどショックだったようだ。れいむは錯乱しかけたが、デコピン一発で黙った。 「こんなもんに騙されるマヌケは、そうだな、せいぜいお前の家族くらいだよ。せめてもっと長い木の枝を持ってこいよ」 「ゆうう……。でも、でもおおお……」 「おまえの小さい口じゃ、それも無理か。まったく使えねえな――はい、次は?」 「ぴ、ぴこぴこしゅるよ!」 れいむは左右の揉み上げを激しく上下させた。 通称『ぴこぴこ』。右と左、二本の揉み上げを持つれいむ種独特の動作だ。 「おにいしゃん、みちぇみちぇ! ぴこぴこしちぇるよ!」 「……」 「れいみゅのもみあげしゃんがぴこぴこしちぇるよ! ……しゅ、しゅごいでちょ? しゅごいよにぇ?」 「……で?」 「……ゆ?」 「その『ぴこぴこ』ってのは、どういう役に立つんだ? あれだけ言ったんだから俺の言いたいことは理解してるよな?」 「……ぴ、ぴこ……」 れいむは下を向いてしまった。考え込んでいるようだが、それでも揉み上げを上下させることはやめない。 「ぴこ、ぴこ……ゆっ!」 ほどなくして顔を上げたれいむは、 「ぴこぴこはみんなをゆっくちしゃせられりゅよ! だからあみゃあみゃちょうだいにぇ! ゆっくちしたぶん、たくしゃんおまけちてにぇ!」 満面の笑みで言い放った。 その「言ってやった!」と言わんばかりの晴れやかな表情に、男はデコピンを数発見舞った。 「いぢゃいっ! いぢゃいいいっ! やめちぇええええっ! ゆびいいいいっ!」 「ゆっくりどころか、むしろイライラさせられたよ。ムカついた」 れいむは、ただでさえ大きく丸い瞳をさらに大きく丸くさせて男を見た。その顔を言葉にするなら「信じられない」といったところか。 「お、おにいしゃん! やしぇがまんちないで、ゆっくちしちぇいいんぢゃよ! みんなに『くーるなびーとをきざんでるにぇ』っていわれたれいみゅの」 「……」 「ご、ごめんなしゃいっ!! でこぴんしゃんはやめちぇにぇっ!?」 「みんなみんなって、おまえの周りはバカ揃いなのか?」 男の言葉に、 「しょ、しょんなこちょない、よう……」 れいむは弱々しく反論する。 ――いい傾向だ。 男は思った。 「さて、そろそろ時間がないんだけど」 男は時計を見ながら言った。 「他に何かあるかな? 他者の役に立つ、れいむの得意なこと」 「ゆ、ゆう……」 かろうじて声を出すれいむに、男と出会った時のような元気はない。心身ともに参っているのが見て取れた。 男はそんなれいむに見せびらかすように、いい加減冷めてきたあんまんをかじった。 「うーん。あまあまだ」 「ゆああ……」 あまあまという語句に反応して顔を上げたれいむの口から、砂糖水の涎がたれる。 「もうあまあまも少なくなっちゃったけど、そろそろ諦める?」 「……ゆうううう! まだだよ!」 挑発的な男の口調にれいむは発憤したようだ。 「れいみゅ、ぴょんぴょんしゅるよ! ――ぴょんべっ!」 男が先ほどと同じように額にデコピンすると、れいむは器用に空中で体を半回転させ、やはり先ほどと同じように顔面から地面に落ちた。 「それは最初にやって、しかも駄目出ししただろう。おまえは、ほんっとにバカだな。特技だけでなく脳味噌までノミ以下か?」 「……ゆ」 「ん?」 「……」 れいむは地面に突っ伏さんばかりに俯いてしまった。 ――頃合かな? 男は思った。 れいむは俯いて黙ったままだ。 出会ってから十分足らず、あれだけ騒がしかったれいむが、今はゆんともすんとも言わない。 男は一度もれいむにあんまんを食べさせていない。 『ぴょんぴょん』から始まって『お歌』に『結界』、くだらない所では『ずーりずーり』や『こーろこーろ』等々いろいろ見せてもらったが、男が満足する「得意なこと」は無かったからだ。 約束通りの話だ。 もっとも、このれいむにそれほど気の利いたことができるなどとは、男も最初から思っていない。何と言ってもまだ子ゆっくりなのだ。 ただ、 「れいみゅはあみゃあみゃをたべるのがとくいだよ! だからあみゃあみゃちょうだいにぇ!」 などとやらかした時には、男は思わず吹き出しそうになった。意外と頭が回るものだと思った。 それをごまかすためにデコピンの連射をくらわせたが、力みすぎてほとんどゲンコツを押しあてているだけになってしまった。 今のれいむのヘコみよう――主に身体面――はアレが原因だ。 れいむはまだ黙っている。 ――頃合かな。 時計を見ながら、男は思った。 「はい。では時間切れでーす!」 男は大げさに宣言した。 「……ゆ、ゆう。ゆっくち……あきらめりゅよ……」 俯きながら蚊の鳴くような声でブツブツ言うれいむを尻目に、男はあんまんの最後のひと欠片を口に入れた。 「むーしゃむーしゃ、しあわせー! ……ごちそうさまでした」 聞こえよがしに呟いてから飲み込む。 するとれいむは、 「ゆわあああああ!! れいみゅのあみゃあみゃがあああああ!!」 突然大声を上げた。どうやら諦めきれていなかったらしい。 「おまえのあまあまじゃないだろ」 「どぼちてれいみゅのあみゃあみゃたべちゃうにょおおおおおお!? かえちて! あみゃあみゃかえちてええええ!」 なおも喚きながら足に取り縋るれいむを、男は軽く蹴飛ばした。 「いぢゃいっ!」 「役立たずのれいみゅちゃんにあげるあまあまなんかねえってえの。俺を満足させる『得意なこと』を見せなかったおまえが悪いんだぜ。最初に約束した通りだよなあ? あ?」 男のその言葉に、れいむは力無く抗議する。 「ゆっくちしちゃ、おうたを……きかしぇてあげたでちょ?」 「雑音だっつったろ? あの人の神経を逆撫でするような雑音が、いったい何の役に立つんだ?」 「で、でも、けっかいっ! は、じょうじゅにできた……でちょ?」 「余裕で破られたじゃねーかよ。あんな『ご自由にお入り下さい』って言ってるような結界があるかバカ」 「ぴょんぴょ」 「何回言ったら理解できるの? 馬鹿なの? 死ぬの? やっぱりノミさん以下の脳味噌なの? 虫さん以下の存在なの?」 「……」 「おまえ、もう死んだ方がいいわ。全っ然、なんの役にも立たねーもの。両親も友達もそう思ってるに違いないぜ」 「……どぼちてしょういうこちょいうにょ……? れいみゅだって、ひっしにいきちぇりゅんだよ……?」 れいむは顔を伏せて小刻みに震え始めた。涙だけでなく、なぜかしーしーまで流している。 それを見た男は満足して、 「バーカバーカ! れいむの役立たずー! 役立たずは生きてる価値なんかねーんだよーだっ!!」 嘲り笑う。 「れ、れいみゅは……やきゅたたじゅ、なんかじゃ、にゃい……よね? ……やくたたじゅ、にゃの……?」 「ホントにれいむ種のガキってのは使えないよなあ。まあそんなグズだからこそ、俺は楽しい思いをさせてもらえるんだけどな」 そんな何気ない男の一言に、ゆっくり特有の、超ポジティブシンキングとも言える餡子脳が反応したらしい。 れいむの涙としーしーはぴたりと止まり、代わりに目が輝き始めた。 「ゆゆっ? れいみゅ、おにいしゃんをたのちましぇてあげちぇるにょ? れいみゅがれいみゅだからいいんだよにぇ? にぇ? にぇ?」 「あ」 しまった、と思ったがもう遅い。 「ゆわーい! ゆわーい! れいみゅ、おにいしゃんのやくにたちぇたよおおおおっ! やくたたじゅじゃにゃいよおおおおおっ!」 「いや、これはそういう意味じゃなくて」 「ゆっくち! ゆっくち! ゆっくち!」 れいむは聞いていない。『ぴょんぴょん』、『のーびのーび』、『ぴこぴこ』――持てる身体能力を駆使して、まさに全身で喜びを表現していた。 これではもう、男が何を言っても無駄に思えた。 「お、おい、れいむ……」 「ゆっくちゆっくちいっ! ゆ! しょうだ、おにいしゃん! やくしょくにょあみゃあみゃをちょうだいにぇ! たくしゃんでいいよ!」 れいむのその要求に、 「せっ!」 男は人さし指と中指で応えた。 「とっくに時間切れだからさ。ご褒美は目潰しで勘弁してくれ」 「ゆびいいいいっ! れいみゅのきゃわいいおめめぎゃあああああっ!!」 目を潰した感触こそ男の指に伝わってこなかったが、だからと言って痛くないわけではないようだ。れいむはもんどりうって苦しんでいる。 「おめめいぢゃいよおおおおおおおっ! おきゃあしゃあああああん!」 ひたすら騒がしいれいむとは反対に、男は静かに溜息をついた。 「しまったなあ……」 そう一言呟いて、男は目の前で転がっているれいむをつまみ上げる。 「れいみゅ、おしょらをとんでいるみちゃい!」 れいむはそう呟いたあと、再び火がついたように「痛い痛い」と喚き散らしはじめたが、男には気にならなかった。 気がかりは他にあった。 「最後の最後で喜ばせちゃったよ。やっぱり、こういうのも味に影響するのかなあ」 暴行を加えられて苦しんでいる時のゆっくりの中身、すなわち餡子やクリームは通常時よりも甘い。今や大人から子どもまで知っている常識だ。 わざわざペットショップまで出向き、食用としてゆっくりを購入する甘党も少なくはない。家で虐待の限りを尽くし、それから食べるのだ。 その場合、殺してしまってはいけない。「苦しんでいる」というのが重要なので、瀕死のギリギリを見極めるのが大切だ。 ゆっくりを虐待して食した経験は、男にもある。しかし、加工所が販売している「原材料・ゆっくり」の各種甘味の美味しさとは、とても比べ物にならなかった。 加工所製の食品は、とにかく美味しいことで有名だ。とりわけ餡子を使った製品は、老舗和菓子店のそれをも凌駕するという声すらある。 素人が殴るなり蹴るなりしても、確かに甘さを増すことはできる。しかしあくまで甘くなるだけだ。風味や旨味に欠ける。 加工所での製造過程で加えられる調味料や添加物なども、確かに多少は影響しているのだろう。だが、加工所製品の味は、もっと根本的な何かが違うのだ。 それは、特に美食家でもない男でもわかるくらいの、大きな違いだった。 加工所でのゆっくり加工方法は、もちろん極秘だ。すべて外部に漏れないよう、職員にも徹底されている。 加工所の味を自分でも再現できればいいのにな――多くの人間がそう思うことに無理はなかったし、男もそう思っていた。なにせ、材料と言うにはあまりにも完成されている餡子がその辺に転がっているのだ。 それはインスタント食品などのうたい文句である「有名店の味をご家庭で」程度の、漠然とした思いではあったが。 再現できたらラッキー。できなくても別にいいや。その程度だ。 そんな中、男は噂を聞いた。 曰く、「加工過程にあるゆっくりは、肉体的だけでなく精神的にもとても苦しめられている。風味や旨味は、とりわけ後者の影響が大きい」。 そりゃ殺されるほどの痛みを感じれば心も平穏じゃいられないだろうよ。男はそう思いながら聞いたが、どうもそういう事ではないらしい、 ゆっくりの存在意義や自尊心を、根こそぎ崩してやるというのだ。 なるほど、と男は膝を打った。至る所で勝手に生きて勝手に死んでいるような、いや、「生きる」だの「死ぬ」だのと言っていいのかすらわからない饅頭に、そんな高尚なものが備わっているとは思いもしなかったからだ。 いいことを聞いたかもしれない。暇な時でも試してみようか。 そう思っていたところに、今日、れいむが現れた。 男は噂を検証してみることにした。 ――でも、しゅこしめんどくちゃいにぇ。 れいむの言うとおりだ。たかだかゆっくりを食べるのにそんな回りくどいことをするなんて、面倒なことこの上ない。 しかし噂の真偽も気になる。 たまには少しくらい、材料の下拵えに時間をかけてみるのもいいだろう。 男はそう考えた。 「うわ。さすがに冷てえな」 公園にある水道で、男はれいむを洗っていた。 冬、しかも外で真水に触れるのは嫌だったが、薄汚れたゆっくりを口に入れるのはさすがに抵抗がある。 「やめちぇええええええ!! ぎょぼぎょぼ! ちゅめたいいいいいいいい! くるちいいいいいい!!」 弱点である水にさらされ、なおかつ男の手でもみ洗いされているれいむは苦しそうだ。 「うるさいよ役立たず。俺だって冷たいんだ」 「おみじゅしゃんももーみもーみもやめちぇえええええ! れいみゅをゆっくちさせぎぇぼぼぼぼぼ!!」 「……この状況も、甘みを増すのに役立ってるんだろうな」 そう思えば水の冷たさにも少しは耐えられた。すべては好奇心を満たすためだ。 水で柔らかくなったれいむの体も、手に心地いい。 「おみじゅしゃんぎょぼぎょぼ! おみじゅしゃんはいやぢゃああああああ! からだがとけちゃうううううう!!」 とは言え、あまり洗っているわけにもいかない。うっかり殺してしまっては元も子もないのだ。 「まあ、こんなもんか」 蛇口をひねって水の流れを止める。 「ぶーるぶーる! がーちがーち! ぶーるぶーる! がーちがーち!」 ずぶ濡れのれいむは男の手の中で震え、歯を鳴らしている。 男は自分の手を拭くついでに、ハンカチで軽くれいむの水気も拭き取ったが、 「ゆゆゆゆゆゆゆうううっぐっぐうううううちちちちちち! がーちがーち!」 それでもかなり寒いらしい。歯がまったくかみ合わず、満足に「ゆっくち」とさえ言えないでいる。そのくせ、「がーちがーち」は普段と変わらない発音だ。 濡れた体にこの季節の寒風は確かに厳しいだろう。これなら水に浸かっていた方が、かえって温かいのかも知れない。 「しゃしゃしゃしゃしゃぶいいいいいい! しゃぶしゃぶしゃぶしゃぶっ」 「しゃぶしゃぶ?」 男はかがみ込むと、地面にハンカチを敷き、その上にれいむを置いた。 おもむろに、れいむの小さく赤いリボンを奪い取る。 「れれれれいみゅのしゅてきなおりりぼぼぼっ!! しゃしゃんっ! んんんがががっ!」 さらに揉み上げも引きちぎる。 「もっもみっ! もみあげじゃんんんっ! もうびっごびごごごごできにゃっ!」 そして、先ほどれいむが『結界』に使ったような木の枝で、れいむの足に穴を開け、 「あんよぼっ! もうぴょぴょぴょぴょぴょもずずずずずううううりずりもできにゃいいいっ!」 同じく木の枝で両目を貫いた。 「ゆんぎゃああああああ!! れいびゅのおおべべべべべえええええっ! ぎゃばいいいんおべべべっ!」 「本当なら足焼きなんかもしたい所だけどな。ま、それなりに甘くなればいいや」 今日は甘さ、つまり、肉体的な暴力を振るうことが目的ではない。 男は両方の手のひらで包み込むようにれいむを持ち上げた。そして手の中で逆さまにする。 「れれれいみゅのああああにゃあにゃあるううう、みみみみないでにぇええ! はじゅっ、はじゅかちいいいい!」 れいむの声を無視して、男はさらされた底部に右手の親指の爪を突き刺した。 本来は固いはずの野良ゆっくりの底部だが、水に濡れてほどなく柔らかくなっている。抵抗なく男の指を飲み込んだ。 「いいいいぢゃいいいいいっ! れいみゅのびきゃくぎゃあああああっ!」 痛みで寒さが吹き飛んだのか、いい加減、歯もかみ合ってきたらしい。何となく叫び声が明瞭になってきた。 男はそんな事を考えながら、れいむの中で親指を曲げ、ミカンの皮をむくように手首ごと横にひねった。 「ゆびいいいいいいっ! いぢゃいいいいいいいっ! れいみゅのもちもちなおはだがあああああっ!!」 男の目の前に、れいむの中身――目当ての餡子が露出した。 「さーて、お味は……」 餡子を人さし指ですくい、口に運んだ。 「……」 もう一度すくってなめる。 「やめぢぇえええ! れいみゅのあんござん、もっちぇいがないでええええ!」 れいむが叫んだ。 男は眉間に皺を寄せて、 「……全然駄目」 と呟いた。 確かに甘い。でも、ただそれだけ。単に肉体的な虐待のみを加えた時と同じく、甘いだけで、風味も旨味もなかった。 加工所の食品――たとえば先ほどまで食べていたあんまん――にはほど遠い味だ。 「うーん、やっぱり単純にバカにするくらいじゃヌルいのかな」 最後に少し喜ばせてしまったことも気になった。 「いぢゃいいいいい!! いぢゃいよおおおおお!! おきゃあしゃああああん!! ぺーろぺーろちてえええええっ!!」 「ただの悪口ってのも、さすがに安直すぎたのかもしれないし」 男は「罵倒」でなく「悪口」のイメージを心掛けた。ゆっくり、とりわけ子ゆっくりの単純すぎる餡子脳には、小細工などむしろ逆効果だからだ。理解すらされないだろう。 「ゆわあああああああん!! おちょうしゃあああああん!! たしゅけちぇにぇええええええ!!!!」 ひとりブツブツと呟く男の耳に、れいむの悲鳴は聞こえていない。 「たとえば食べる一週間前から他のゆっくりの悲鳴をエンドレスで流すとか……。そう、味を熟成させるみたいなイメージで」 少し考えただけでも、虐待の方法は山ほどあった。 もっとも、専用の特殊な機械でも使われていたらお手上げだし、それ以前に、精神的な虐待と味の因果関係さえ本当かどうかわからないのだが……。 ――とにかく、加工所の味は一朝一夕に解明できるものではない。当然だ。玄人の技術がそうそうわかってたまるか。 そう結論づけた男は、思い出したように餡子をごっそりと指ですくった。 「ゆぎいいいいいいいいいっ!!」 聞いている方まで苦しくなりそうな、まさに断末魔と呼ぶにふさわしい悲鳴を聞きながら、男はすくい取った餡子を口に入れた。 しばらく口の中に広がる甘さを堪能する。 そしてれいむをひっくり返し、目を失ったその顔を見た。 「やめちぇ……。もうやめちぇね……。れいみゅ、まだちにたくにゃいよ……」 体の半分以上の餡子を失いながら、それでもまだれいむは生きていた。 「かっちぇにおしょとにでたけっきゃがこれだよ……」 男はその頑丈さに半ば呆れながら、 「ま、餡子を提供してくれるゆっくりは、れいむ種だけだからな。その点は他のゆっくりにない『得意なこと』だと誇ってもいいぜ」 そう言って、水道の隣に設置されているゆっくり専用のゴミ箱にれいむを放り込んだ。 「おしょらを――」 お馴染みのセリフとともに、ゴミ箱に消えるれいむ。 ゴミ箱はちょっとした防音仕様が施されていて、中には水が張られている。すぐに溶けて死ぬはずだ。 男は時計を見た。 「さて、そろそろ帰らないと」 指に残った餡子をなめながら呟く。 「甘さだけはすごいんだよなあ」 そのうち、暇で暇でどうしようもない時にでも、またチャレンジしてみようか。 その時は材料も吟味して。そうだ。今度はれいむ種じゃなくて―― 「あ」 自分の勘違いに気づいた男は、ゴミ箱の口に顔を近づけた。 そして中――暗くてよく見えないが――に向かって声をかける。 「悪い、れいむ。さっき『餡子を食べさせてくれることを誇っていい』って言ったけどさ、あれ訂正するよ」 ゴミ箱は返答しない。 「まりさの中身だって餡子だもんな。れいむだけじゃなくてさ。いやあ、やっぱりれいむは能なしの役立たずだったよ」 男がそう言うと、 「やくたたじゅじゃにゃいよおおおおおおおおっ!」 防音仕様のゴミ箱の中から叫び声が聞こえた。 ゆっくりの声を聞き分けることなど男にはできない。それでも、さすがにその叫び声の主だけはわかる。 自分の声に応じられるものが、まだその中に存在しているとは思わなかった。 急に可笑しくなった男は、 「はははっ! 今のは今日一番おもしろかったぜ!」 ゴミ箱に笑いかけ、そして公園から出ていった。 「まりさとれいむのおちびちゃあああああん!! どこにいったのかぜええええええ!?」 「かってにおそとにでたらだめだっていったでしょおおおおおおお!? ゆっくりかえってきてねええええ!?」 男が立ち去ってからしばらく経った公園。 そこには、子ゆっくりを探すまりさとれいむの姿があった。 しかしその必死な呼びかけに応える者はいない。 もう、ゴミ箱も沈黙するだけだ。 (了) 以前書いたもの…… ふたば系ゆっくりいじめ 525 犬 ふたば系ゆっくりいじめ 532 川原の一家 ふたば系ゆっくりいじめ 554 ゴキブリ(前編) ふたば系ゆっくりいじめ 555 ゴキブリ(後編) ふたば系ゆっくりいじめ 569 ねとられいむ ふたば系ゆっくりいじめ 622 格子越しの情景 ふたば系ゆっくりいじめ 654 奇跡の朝に トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 子ゆを捜してる親ゆの姿にとてもゆっくり出来た -- 2011-07-03 17 10 24 おもしかったです! でもゴミ食ってる野良の子ゆなんか食べたくないよw -- 2011-06-29 06 42 13 街中のゆっくりなんか何食ってるかわかんないし食いたくないな。 加工所では、食用に品種改良とかしてるのかなー? -- 2010-10-28 16 32 42 ゆ虐は何気に腹が減るSSが多くて困るぜw 食べてみたいなー -- 2010-10-01 06 47 46 子ゆうぜぇ~! でも、食べてみたいな -- 2010-07-30 00 48 02 ゲスじゃなくても超ウザい これぞ赤ゆクオリティ -- 2010-07-29 22 21 55 子ゆの悲鳴はゆっくりできます。 -- 2010-07-25 11 19 36 ありす喰いたい -- 2010-07-03 18 56 41 わーい ゴミがゴミになったよ -- 2010-06-28 02 34 48
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雨さんはゆっくりしてるね 19KB 虐はゆるめです。 『ふたば系ゆっくりいじめ 137 真夏はゆっくりできるね』続き。 まあ、タイトルで予想できるとおり、大体定番の展開ですので、 盛り上げるためにも前置きやら小ネタが必要になりました。 『雨さんはゆっくりしてるね』 D.O 夏。 今日も町は、餡子の底まで焼けつくような暑さだ。 一昨日、小学校に居たゆうかりんからもらった水は、もはや一滴も残っていない。 れいむは今日もおちびちゃんたちとともに、水を求めて町をさまよう。 「もうゆっくちあるけにゃいよぉ。」 不満を漏らす彼女は末っ子れいむ。 「ゆっくちがんばっちぇにぇ、ときゃいはじゃにゃいわ。」 それをいさめるのは長女ありす。 れいむ自慢のゆっくりしたおちびちゃんたちだ。 でも、このままじゃおちびちゃんたちもゆっくりできなくなるよ。 ゆっくりしないでおみずさんをみつけないと。 れいむ一家が朦朧とした意識で這い進んでいると、何やら目の前に、 ゴミ捨て場さんによく似た小さな山が見えた。 「ゆう・・・ゆっ?なんだかこのはこさんゆっくりできるよ?」 「ちゅめちゃーい!ゆっくちー!」 「しゅーりしゅーりしゅると、とっちぇもしゅじゅしいわ。ときゃいはー!」 「おちびちゃんたち、ちょっとここでやすもうね!」 「「ゆっくちー!」」 「「「すーや、すーや・・・。」」」 「よーし、湯土郎!荷物積み込んだらとっとと車に乗れー。」 「キャンプッ!キャンプッ!」 ブロロロロロロォォォォォ・・・ 「「「ゆっ!?」」」 「あれっ?とーちゃん、ゆっくりが乗ってる。」 「なんだとぉ?」 彼女たちが冷たいと喜んでいたのは氷を満載したクーラーボックス。 ゴミ捨て場に見えたのはキャンプ用品の山である。 こうして彼女たちは、予想だにしない形で町の熱気から解放されたのだった。 「いや、そこらに置いて行こうよ湯土郎、野良ゆはゆっくりできないってばっちゃが言ってたぞ!」 「こんなトコに置いてっちゃかわいそーだろ! 仲間のいるところに返してやろーよー。」 親子が話し合う中、人間さんのすぃーに無断で乗ってしまったことに気づいたれいむ一家は、 奥歯もかみ合わないほど震えあがっていた。 だが、彼女たちの心配は良い意味で裏切られる。 結局父が折れた。 「ありす、ゆーどろごっこしようぜ!」 「ぷきゅぅぅぅぅぅうううう!ぷきゅるるるるーーーー!ゆっくちー!」 「な!たのしいだろ!」 あにゃるからストローで息を吹き込まれるたび、 長女ありすは自分がいつもより大きく膨らんでいるような気がして、とても喜んでいた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 巷のゆっくり愛好者に人気のキャンプ場『虹浦ゆーキャンプ』。 このキャンプ場は、近くに大人の足首程度の水深の小川と、捕食種の住みつかない恵み豊かな森を有しており、 多くの人懐っこいゆっくりたちが住みつく、素晴らしいゆっくりプレイスだった。 「「「ゆっゆーーー!!!」」」 「じゃーね、れいむ!ここならたくさんゆっくりした友達がいるから、ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 れいむ一家は人間さんの親子に別れを告げると、仲間達のにおいをたどって森へと入って行った。 美しい緑に興奮しつつ、れいむ一家が森を進んでいると、 木の影から、 岩の隙間から、 崖の上から、 いつの間にか、無数のゆっくりの視線がれいむ一家を取り囲んでいた。 森のゆっくり達は見かけない顔のれいむに、距離をとりつつもゾロゾロと集まる。 向けられるのは好奇の視線。 町の排気ガスと油に汚れた体、水不足と食料不足でゆっくりできていない下膨れ、森のゆっくり達とはまるで別物。 れいむ一家自身も明らかな差を自覚し、さらし者にされているかのよう、いや、実際さらし者にされていた。 それは、かつて飼いゆっくりの集まる公園にあんよを踏み入れた時の感覚に似ていた。 「ゆっくりしていってね!」 その静寂を破ったのは、森ゆの中でもひときわゆっくりしていた、一匹のまりさだった。 まりさは周囲のゆっくり達よりさらに一歩れいむに近づき、れいむの瞳をじっと見つめていた。 その視線は鋭かったが、なぜかゆっくりできないものではなく、れいむ自身もまりさに目を合わせた。 そして数時間にも感じられる数秒が過ぎたころ、まりさは再びお口を開いた 「みんなっ!このれいむたちはゆっくりできるよ。みんなもいっしょにゆっくりしてね!」 「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」 れいむ一家は、こうして森に迎え入れられた。 木々の木陰はひんやりと涼しく、町の猛暑を餡子がとろけるほどに味わっていたれいむ一家にとっては、 まさに別世界だった。 ゆっくりひなたぼっこ。ごはんはどちらを向いても山のようにある。 小川の清水は、おちびちゃんたちの全身に染みついた町のホコリを清めてくれた。 全身を清め終えたれいむ一家は、栄養状態こそそこそこだが、いまや森ゆに負けない美ゆっくり達となっていた。 「べっ、べつにそんなにゆっくりしてるとかおもってないわよ!ちょっととかいはだからってちょうしにのらないでねっ!」 「とっちぇもゆっくちできりゅわ!おにぇーしゃんはとっちぇもときゃいはにぇ!」 「なっ、なによ!ありすをほめたって、このあまあまのきのみさんくらいしかでないわよっ!」 「ありがちょー。」 今や、だれが見てもれいむ達は立派な森ゆであろう。 そして数日後。 そんな美ゆっくりとなったれいむに、まりさが惹かれたのか、 ゆっくりしていなかった自分を森に受け入れてくれたまりさに、れいむが惹かれたのか、 確実なことは、まりさとれいむが周囲のゆっくり達公認のカップルとなったことだった。 むろん新参のよそ者と、森でもそのゆっくりっぷりが評判のまりさが恋仲となるので波紋は生じる。 例えば、 「ふんっ!そんなれいむをすきになるなんて、まりさもとんだいなかものだったのねっ!」 捨て台詞を残して去って行ったのは、まりさと並ぶ美貌を誇っていた、つんでれありすだ。 お察しのとおり、彼女はまりさのことを愛していたが、厄介な性格のせいで告白できなかった。 これまたお察しのとおり、まりさ以外の森ゆ全員が彼女の想いを知っていた。 所詮は個ゆっくり間の色恋沙汰など、誰も進んで関わりたがらなかったが。 「「「「「わかるよー。」」」」」 他のゆっくり達はわりかし物分かりがよく、お祝い事を素直に喜んでいた。さすがにゆっくりである。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 今日も見事な青空だった。 空には大きな大きな入道雲。 森のみんなは狩りもそこそこで終わらせて、浅い小川でサッと水浴び、 そのあとは岩の上で横になり、日光浴ですっきりーする。 みんながゆっくりしている姿の中にあっても、まりさは本当にゆっくりしていた。 おちびちゃんたちと水浴びを終えたれいむは、ふと以前から持っていた疑問を投げかけてみた。 「ねぇ、まりさ。」 「なに、れいむ。」 「はじめてあったとき、まりさはどうして、れいむとゆっくりしてくれたの?」 「・・・・・・。」 「れいむは、よごれてて、やせてて、とってもゆっくりしてなかったよ。どうしてゆっくりさせてくれたの?」 「・・・なんとなくだよ。」 「?」 ゴロゴロゴロ・・・ 「なんとなく、れいむはゆっくりしてたよ。それだけだよ。」 「ゆ、ゆーん。なんだかれいむもよくわからなくなってきたよ。まりさはれいむのこと、ほめてくれてるの?」 「よくわからないよ。」 「ゆがーん!」 「それに、そんなのどうでもいいよ。まりさは、れいむのことがだいすきだよ。それだけでじゅうぶんなんだよ。」 「まりさ・・・。」 ゴロゴロゴロゴロッ・・・ 「れいむ・・・。」 見つめあう二匹。 だが、れいむがまりさの下膨れにうっとりとしていたその時、まりさは突然はっとして、空を見上げた。 まりさは気づいたのだった。 先ほどまで何事もなかった自分のお肌が、しっとりと濡れていることに。 「!」 慣れ、 気の緩み、 れいむともっとゆっくりしたいという願望、 いずれか、あるいはその全てであったかも知れない。 まりさは出せる限りの大声で叫んだ。 「みんなっあめさんがふるよ!ゆっくりしないでおうちにもどってね!!!」 まりさは、その大して長くもないゆん生において、 数えることができるほどしか(具体的には3回以下)してこなかった、 そして、もっとも致命的な失敗を犯した。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− まりさの声が川原に響いた瞬間、 ピッッッシャァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンン!!! 雷鳴。 そして、次の瞬間 「「「わがらにゃぁぁあああああ・・・・・・・・・!!!」」」 桶の底を叩き割ったような大雨。 小川で水浴びに興じていた数十匹のゆっくりが一瞬で砕けちった。 かろうじて森の中に逃げ込んだれいむたち。しかしまだまだ安泰とは言えない。 「このあめさんは、はっぱさんじゃふせぎきれないよっ! みんな、まりさといっしょにどうくつさんにいくよ!」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「ゆぁぁ・・・」 「ゆびっ・・・」 「やめじぇぇぇ・・・」 「あめざんやべじぇ・・・」 「あんよが、あんよが・・・」 「「「ゆっぐりざぜでぇぇぇぇえええええ・・・!!!」 「おぎゃあじゃぁぁん・・・」 「ばりざぁぁぁあ・・・」 「・・・をつかわざるをえない・・・」 「ぎゃぼ・・・」 「こんなのおかしいよぉ。」 ほんの少し前までここはたしかに至高のゆっくりぷれいすだったはずなのに。 今、れいむの眼前には地獄絵図が広がっていた。 もともと森の人気者だったまりさの周囲には、いつのまにか多くの森ゆたちが集まり、 一緒に洞窟に向けて、なるべく深い茂みの中を進んでいた。しかし、 「おきゃあしゃ『ボタッ』ゆびっ・・・。」 「おちびちゃん?おちびちゃぁぁぁあああん!!」 茂みをくぐり抜けた雨粒は、肌の薄い子ゆ、赤ゆ達を確実に狙撃していく。 しかし、森の豊富な食糧によって大きく育った赤ゆたちすべてをおくちの中に避難させることはできない。 れいむ一家にしても状況は深刻だ。 ここ数日の食生活のおかげもあってか、長女ありすも末っ子れいむも、急速に子ゆっくりサイズ近くへと成長してしまった。 もはやおくちの中に入れて運んであげることなどできない。 れいむ達は、自分と、おちびちゃんの頭上に死が降りかからないことを祈ることしかできなかった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「おちび、しげみさんのおくにきなさい!おちびのくせにあめさんにぬれるつもり!」 「ゆあーん。でもありしゅおにぇーしゃんがぬれちゃうよぉ」 「あっ、ありすはへいきにきまってるでしょ!すこしあめさんにぬれたいきぶんなのよ!」 「ゆーん、ありしゅおにぇえ・・・ゆ?」 「ゆぁぁぁああああん!!!ありしゅおにぇえちゃんのおかおがくじゅれちゃっちゃよぉぉぉおおお!!!」 「いや・・・いやぁぁぁあああ!!!」 「ありすっ、おちついてよー!」 「こんなのとかいがじゃないわぁぁぁぁぁぁ。」 「ありすー、だいじょうぶだよー、ぺーろぺーろしたらよくなるよー。」 「だめぇ、こんなゆっくりしてないおかおじゃ、まりさのちかくにいられないのぉ。 ありすみたいな、いじわるでゆっくりできないゆっくりが、おかおまでゆっくりできなくなっちゃったらぁ・・・。」 「・・・ちがうよー。ありすはやさしくってゆっくりできるありすだよー。 ちぇんはずっとすきだったよー。おちびちゃんをまもってけがしちゃったありすはもっとすきになったよー。 わかるー?」 「ちぇん・・・」 「あめさんがやんだらちぇんとずっとゆっくりしてほしいよー。 へんじはこんどでいいよー。わかってねー。」 「・・・・・・。」 つんでれありすは気づかない。 愛の告白をした、ちぇんの尻尾の付け根はすでにふやけて痛々しく裂けており、 ありすとすーりすーりするたびにチョコレートを大量に流していたことに。 ちぇんは気づいていない。 ありすの崩れた顔は、もはや皮としての強度を持ち合わせておらず、 ちぇんとすーりすーりするたびにカスタードを大量に流していたことに。 その光景を眺めていた赤まりさは、 彼女たちのあまりにゆっくりした姿に、自分も加えてもらおうと、 餡子をボロボロとこぼすあんよでゆっくりと這い進み、二匹にそっと寄り添った。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 一方れいむ一家はまりさや森ゆ達と茂みを進んでいたが、 普段は雨さんから守ってくれるはずの葉っぱさんから、さらに大粒になった水滴が降り注ぐ中で、 赤ゆ、子ゆから次々に餡子を散らしていく。 「ゆぴっ・・・・」 「ゆげぇ・・・」 「おちびじゃん、おちびちゃんがぁぁぁ・・・ゆべぇ。」 いつのまにか周囲には、れいむ一家とまりさ以外は誰も居なくなってしまっていた。 「おきゃあしゃん・・・もぉあるけにゃいよぉ。」 末っ子れいむがついに弱音を吐き始めた。 とはいえ今回ばかりは甘えだとも言い切れない。 事実末っ子れいむと長女ありすのあんよはぶよぶよにふやけて限界まで来ていた。 まりさが2匹を、帽子に交互に入れてあげてはいたが、 洞窟が見えるところまで来て、ついにれいむ達は完全に身動きを取れなくなった。 れいむ一家は近くにあった木の洞に隠れる。 「まりさ、まりさもきのあなさんのなかにはいってね。」 「まりさはおぼうしがあるからへいきだよ!れいむたちこそもっとおくにはいってね!」 「おきゃあしゃぁぁあん、このあなしゃん、おみじゅしゃんがはいっちぇくるよぉぉ。」 しかし、ゆっくり達のおうちに使われてないだけあり、 その洞はあまりに小さく、雨から完全に身を守ることはできなかった。 その時、少しだけ雨が弱まった。 あんよが濡れる危険があろうとも今洞窟に向かうしかない。 「れいむ、これからおちびちゃんといっしょに、どうくつさんにむかってね。」 「「まりしゃおにぇーしゃん?」」 「まりさ、なにいってるの?」 「よくきいてね。まりさだけならこのあなさんのなかでもだいじょうぶだよ。 でもおちびちゃんたちまではむりだよ。」 「まりさをおいてなんていけないよ! それにれいむたちはおぼうしがないから、あめさんのなかをどうくつさんまでいけないよ。」 「れいむはまりさのおぼうしをかぶってね。 おちびちゃんたちは、きゅうくつでもおぼうしのなかにはいってね。とにかくまりさはここにのこるんだよ。」 その時れいむは、洞に入らず雨にさらされ続けていたまりさのあんよが、 ろくに動かせないほどふやけていることに気づいた。 「ありしゅものこるよ!」 「なにいってるの、おちびちゃん!」 「まりしゃおにーちゃんがいりゅからだいじょうぶだよ。 おきゃーしゃんは、りぇいむをちゅれてどうくつさんにいっっちぇにぇ!」 普段ならば、いかにおちびちゃんの言葉とは言え、じゃあゆっくりのこってね、とはいかない。 しかし、 「わかったよ。おちびちゃんはまりさとゆっくりしていってね。」 れいむは、末っ子れいむだけを帽子に入れて、洞を飛び出していった。泣き叫ぶのをこらえながら。 「ありすはもう、あんよがやぶれちゃってたんだね・・・。」 「でも、もういちゃくにゃいんだよ。へんだにぇ・・・。」 「おそとはつめたいよ。まりさのおくちにはいってね。」 「まりしゃおとーちゃんのおくち、あっちゃきゃいにぇ。」 「がんばったね、おちびちゃん。もうきょうはすーやすーやしようね。」 「ゆっくち。おとーしゃんのおくち、とっちぇもときゃいはにぇ。おきゃーしゃんとおなじくらいゆっくちしちぇるよ。」 「ゆっくりしていってね、おちびちゃん・・・」 「おやしゅみにゃしゃい・・・」 木の洞にあった丸い影は、少しずつ形を崩していき、ついには赤いカチューシャの他に何一つ痕跡を残さず消え去っていった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 洞窟内には、周辺の群れも合わせて数百の家族がひしめきつつ、一様にすすり泣いていた。 「まりさぁぁ・・・」 「おとうしゃぁぁぁあああん・・・」 家族たちの中には、ゆっくりまりさのとんがり帽子をかぶったありすやちぇんも多い。 そばに寄り添う赤ゆに、必ずと言ってよいほど赤まりさがいたことで、れいむはおおよその事情を悟ったのだった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 雨のあがった夕方、川原は、泥を洗い流すゆっくり達で、タコ焼き機を敷き詰めたような賑わいだった。 川の水も若干増水しており、流れもすっかり速くなっていた。 とはいえ元々きれいな水である。多少濁ってはいてもきれいきれいする分には問題なかった。 「かわさんはちょっとゆっくりしてないよ!おちびちゃんたちは、かわさんのなかにはいらないでね! おかーさんにきれいきれいしてもらうんだよ!」 「「「「「「ゆっくちりかいしちゃよ!」」」」」」 先代の群れの長まりさも永遠にゆっくりしてしまっていたため、 急きょ新しい長となった若いまりさは、群れのゆっくり達に注意を促す。 突然の任命に多少動揺していたものの、その眼には、誇りと責任感がはっきりと見て取ることができた。 群れは数を減らしはしたが、今後も安泰であろう。 「すっきりー!」 きれいに晴れた空を見ながら、れいむはまりさと赤ありすのゆっくりした下膨れを思い出す。 まりさ・・・ありす・・・ゆっくりしていってね。 れいむはふたりのぶんまでゆっくりするよ。 「おきゃーしゃん!りぇいみゅあのいわしゃんのうえでぽーかぽーかしゅるよっ!」 そこには、大きな岩が転がる川原の中にあって、ひときわ大きな岩があった。 子ゆっくりでも登るのは一苦労、ましてギリギリ赤ゆといった末っ子れいむでは転んで怪我をする危険もある。 「れいみゅひちょりでにょぼるよ!おきゃーしゃんはみちぇちぇにぇ!」 「ゆーん。おちびちゃん。あぶないよ。」 「れいみゅだいじょうぶだよっ! れいみゅも、まりしゃおにぇーしゃんみちゃいに、ありしゅおにぇーしゃんみちゃいに、 ゆっくちしたゆっくちにゃるんだよっ!」 「・・・おちびちゃん、たいようさんにゆっくりかわかしてもらってね!」 ありす、まりさ。ふたりがいなくても、れいむはもうなかないよ。 おちびちゃんが、あんなにゆっくりてるから。 だから、おちびちゃんを、ずっといっしょにみまもっててね・・・。 末っ子れいむは、お母さんれいむにキレイに泥を落としてもらうと、 日向ぼっこをするために、川原から少しのぼった先の岩の上に駆け上がる。 ぴょんっ! ぴょんっ! ぴょんっ! ドドドドォォォォオオオオオオオオオオオ・・・・・・・ ぴょんっ!「ゆっ!」 ぴょんっ!「ゆっくち!」 ぴょんっ!「あともうしゅこちだよっ!」 ぴょんっ!「ゆぅーん!」 「おきゃーしゃんっ!れいみゅひちょりでのぼれちゃよっ!!!ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!!」 。 末っ子れいむが振り返ると、そこには先ほどまでの2倍以上の幅、10倍どころではない深さとなった濁流が、 とてもゆっくりしてない速さで流れていた。 ついさっきまで水浴びを楽しんでいた群れのゆっくり達は、どこを見ても影も形もない。 山津波。 それは上流で山地に蓄えられた水が、豪雨などにより貯水限界を超えて、土砂を巻き込み一気に流れ落ちる現象。 野生のゆっくり達にとっても、その川の姿は想像を超えていたことだろう。 「おきゃーしゃん。ゆっくち・・・しちぇいっちぇにぇ・・・。」 末っ子れいむは、小首(?)をかしげつつ、いつまでも母を呼び続けるのだった。 前作『真夏はゆっくりできるね』では脇役がヘタにキャラ立ちしていたため、おまけSS作成が大変でした。 今回はほぼ全員にしっかりトドメを入れておいたのでおまけは書かずに済みそう。 でも、雨ってやっぱり味気なくてイマイチ面白くなりませんね。すみません。 小ネタに頼らざるを得ないのは悪い傾向です。 ちなみに『ゆうかりんのご奉仕授業』の校長の名前は倉塚先生でした。 あと、『ゆっくりのみるゆめ』の虐待お兄さんは天霧さんです。 過度な絵師さんいじりにはならないよう、なるべくイメージと遠いキャラに、名前を使わせていただいております。 苦情があったらやめますが。 実は、登場予定だった長まりさと側近みょんを削っています。だって悲劇にならなかったんですよ。 (一部抜粋)「もうまりさはここまでだぜ。みょんははやくどうくつにむかうんだぜ。」 「何言ってるんですかい、おやっさん。最後までお供させていただきやすぜぇ。みょん。」 「ばかなこといってるんじゃないんだぜ。みょんはむれのこれからにひつようなゆっくりなんだぜ。」 「ふっ。あっしみてぇなロートルが残ったところで、若けぇもんに腫れもの扱いされんのがオチでさぁ。 それに、おやっさんと三途の川ぁ渡って、あっちでひと暴れすんのが楽しみってもんでさぁ。みょん。」 「ふぅ・・・つくづくどうしようもないみょんなんだぜ。もういいんだぜ、ここまでにしてくれだぜ。」 「介錯は任せてくんなせぇ。あっしもすぐにお供させていただきやすぜ。みょん。」 ギャグですね。 ※次回予告 最愛の母と姉を失いながらも赤れいむは強く生き続ける。 そして、町に戻った彼女が母と同じ大きさに育った頃、彼女に最後の試練が降りかかるのであった。 次回、D.Oが送る季節モノ系SS最終回『クリスマスイブさんはゆっくりしてね』(仮)。 まあ、あんまり期待しないで待っててください。ダラダラ書きます。 過去作品 ふたば系ゆっくりいじめ 132 俺の嫁ゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 137 真夏はゆっくりできるね ふたば系ゆっくりいじめ 139 ゆっくりのみるゆめ ふたば系ゆっくりいじめ 142 ゆうかりんのご奉仕授業 D.Oの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る のだめ・・・? -- 2011-10-18 22 53 30 移動中に「をつかわざるをえない」って言ってるやつがwwww -- 2011-08-22 11 13 10 シーン毎に映像が浮かびやすかった 面白かったです -- 2010-09-06 08 17 51
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「たっだいまぁ♪」 と言いながら誰もいない家に帰ってきたのはあるお姉さん。 仕事から帰ったばかりで疲れているはずなのに、今日のお姉さんはやけに明るい。 その原因は今日の晩御飯、大好物のとんかつである。それはお皿の上にくれらっぷでくるんで置いてある。 お姉さんは仕事から帰ってから、必ず規則正しく7時30分からテレビを観る。 帰宅が7時頃になるお姉さんは、帰ってから夕飯を作っていたのでは間に合わないのだ。 それでお姉さんは日課へのこだわりとして、毎朝夕飯を作っている。河童印のラップのおかげで保温はもちろん、味だってばっちりだ。 しかし、そのるんるん気分と日課はあっけなく壊されることになる。 「ゆっくりしていってね!!!」 と叫ぶゆっくりがいた。それを見たとたん、お姉さんはへなへなと床に崩れ落ちる。 なんととんかつがきれいに片付けられてしまっているではないか。 「ここはれいむのおうちだよ!しらないおねーさんはごはんをおいてさっさとどっかいってね!!!」 「このさくさくはすごくおいしかったよ!だからかわいいれいむにもっとさくさくをもってきてね!!!」 ゆっくりれいむがなんかほざいているが、お姉さんには聞こえていない。 一か月に一回の楽しみだったのに! パン粉だってこだわって小麦からつくったのに! お肉だって最高級の奴を買ってきたのに! この日の為にソースだって新しいのをかけておいたのに! ん…、ソース………? 「おねーさん!はやくれいむにあのさくさくをもってきてね!!!いわなきゃわかんないなんておねーさんはぐずだね!!!」 ソース…。……フフ………。 お姉さんは声もあげずわずかに笑いながら立ち上がり、家を後にした。 (ゆっへっへ!さくさくを取りにいったね!このばかなおねーさんはりようできるね!まいにちあのさくさくをもってこさせるよ!) どうやらこのれいむにはゲスの素質があるようだ。 お姉さんは10分もかからず帰ってきた。何やらたくさんの小袋を箱詰めにして運んでいる。 「ゆゆ!おねーさんおそいよ!れいむをまたせるなんてゆっくりしすぎだよ!!!」 お姉さんは聞いちゃいない。箱から小袋を取り出し、開封し、れいむに差し出す。当然れいむはゆっくりならざる速さで飛びかかる。 「はふはふ!うっめ!めっちゃうめえ!ぱねえ!」 あっという間も無く完食した。 お姉さんが箱買いしてきたのはとんかつを模した30円の伝説の駄菓子、「ゆッグカツ」である。意外とソース味が濃く、実にリアル。 だがそれは駄菓子。肉ではなく魚のすり身を揚げた物なのだが、ゆっくりブレインでは気づくはずがない。 とんかつを大量に買い込む金などないお姉さんはそう踏んで、わざわざ「ゆッグカツ」を買い込んできたのだ。 「ゆゆ!おねーさんはゆっくりできるね!おれいにれいむにさくさくをまいにちもってこさせてあげるよ!!!」 いやお礼にもなってないし。そう突っ込むのをこらえ、お姉さんはれいむに初めて声をかける。 「ええ。そうさせてもらうわ。」 れいむはゆへーん!とえばりながら体を膨らませた。お姉さんはそれを見て、またもやわずかな笑いをみせた。 (フフ…。あなたがそのサクサクの味に悶えるのはいつかしら…。) 次の日の朝。 お姉さんが起床するなりれいむはゆッグカツを要求したのでお姉さんは言われるままに台所に行き、お皿の上にゆッグカツを几帳面に乗せる。 だがそこから。お姉さんはゆッグカツにソースを少しだけ追加してかられいむに差し出す。 もちろん、仕事に行っている間に部屋を汚されてはたまらないので床一面に文々。新聞を敷き、高いところのものは全部片付けた。 そうして彼女は出勤する。お姉さんを見送ったれいむはゆッグカツに行儀悪くかぶりつく。 (せいぜい今のうちに楽しむといいわ…。) その次の日の朝。 お姉さんは昨日よりもさらにもう少しソースを増やしてれいむに差し出した。 その次の日もソースを増やす。 また次の日もソースを増やす。 そのまた次の日もソースを増やす。 さらに次の日もソースを増やす。 さらにその次の日もソースを増やす。 さらにそのまた次の日もソースを増やす。 ソースを増やす。 ソースを増やす。 ソースを増やす。 ソースを増やす。 ソースを増やす。 ソースを増やす。 ソースを増やす。 ソースを増やす。 ソースを増やす。 ソースを増やす。 ソースを増やす。 ソースを増やす。 増やす。 増やす。 増やす。 増やす。 増やす。 増やす。 増やす。 増やす。 増やす。 増やす。 増やす。 増やす。 増やす。 増やす。 れいむは、日に日に真黒になって出てくるゆッグカツに気づくよしもなかった。 そんなある日。 「ゆゆ!おねえさん、れいむのどがかわいたよ!さっさとおみずをもってきてね!!!」 れいむはお姉さんが持ってきた水に口をつける。 「ごーくご……ゆぼぶえぇっ!!??このおみずまずいよ!こんなののめないよ!おいしいおみずをもってきてね!!!」 毎日毎日味の濃いソースカツ(もどき)を食べていたれいむにただの水が飲めるはずがなかった。 「そう…。じゃあこれは?」お姉さんは何やら黒い液体を器に少しそそぐ。 「ゆゆ?なにそのおみずは!」 「これはね…、”そーす”っていう飲み物なの。おいしいから飲んでみて。」 れいむは半信半疑で未知の飲み物、”そーす”を口に流し込む。 「ゆゆ!さくさくとおなじあじがしておいしいよ!これからはあのさくさくとこのそーすをいっしょにもってきてね!!!」 れいむは喉の渇きも忘れてそう喜んだ。 しかし、れいむの舌は強いソースの味に冒され、完全におかしくなっていた。 お姉さんの笑いはゆっくり、少しづつ、大きくなっていった。 さらにさらに次の日。 (ウフフ…。そろそろとどめといきましょうか……。) お姉さんはゆッグカツにソースをかけずにれいむに差し出した。 「むーしゃむー……ひ、ひぎい゛い゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!???」 今までと比べて明らかに薄い味付けに、れいむは耐えられなかった。 「ぢょっ゛ど!!れ゛い゛む゛に゛ごん゛な゛も゛の゛を゛だべざぜる゛な゛ん゛でどう゛ゆ゛う゛づも゛り゛!!!!!」 「あれ?おいしくなかった?じゃあソースを飲んでお口直しをしなくちゃね。」 お姉さんはソースを二、三本まるまると持ってくる。 れいむは早くふしあわせーな気持ちから逃れるため、大量のソースを一気に、ラッパ飲みした。 「ごーくごーく、しあわゆ、ゆぎゃあ゛あ゛あ゛!!!の゛どが!!の゛どががわ゛い゛だよ゛お゛お゛!!!も゛っどぞーず、ぞーずも゛っでぎでぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!」 塩分の高いものを一気に摂取したせいで、れいむの血中濃度ならぬ、餡中濃度が極端に上がってしまった。 その濃くなった餡子を薄めるため、体が水分を求めているのだ。餡子が失われたわけではないのでこれで死ぬことはない、多分。 お姉さんは悶えるれいむを見るなり、まるでエステの受付嬢のごとくさわやかな笑顔で、優しい口調で声をかける。 「あれー?ソースいっぱい飲んだのにどうしてかなぁー?もっと持ってくるね。」 れいむの前にさらに数十本のソースが置かれる。 まさか自分で自分の首(?)を絞めているとも思わず、のどを潤すためにソースを飲み干すれいむ。しかし当然 「どぼじでの゛どががわ゛ぐの゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!!」 お姉さんは笑いをこらえるのに必死である。ク…クッ……とすでに笑いが漏れかけている。 「喉っ…ック…かわっ…いたならっ……、み…水…、…プッ…の…飲む…?」 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛!!!お゛み゛ずはい゛や゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「そっ…なっら……どうしようも…ないっね…」 その後もソースを飲み続けてさーすてぃーな気持ちになったれいむは、食事をするどころではなかった。 そして、最後まで喉の渇きに苦しみ、悲鳴をあげながら死んだ。 「私のソースとんかつを横取りするからそんな目に遭うのよ。」 と、数ヶ月後、お姉さんはとんかつにかぶりつきながら、思い出したように言ったそうだ。 「うーん!やっぱり自分へのご褒美はこれに限るわね♪」 _______________________________________________________________ ビッグカツをつまみにしながらジンジャーエール飲んでたら思いついた。 普段は明るい、何かあると病むお姉さんを目指して書いてみた。 ちなみに虐待スレのSSに出てくるお姉さんは俺の中では黒髪のショートヘアです。 食べ物の恨みは恐ろしいよ! このSSに感想を付ける
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れいむ死ね 4KB れいむ死ね 「ゆぐっ!どぼじでごんなごどずるのぉぉぉぉぉ!!!」 一人の男が、道端で跳ねていた、野良のゆっくりれいむの後頭部を、勢い良く蹴り上げた。 誰も居ない、田舎の未舗装の道。両側が田んぼに挟まれている。 日曜の昼下がり。さんさんと照りつける太陽。そんな平和な空間に、れいむの大きな悲鳴が響く。 「いだいよ……ゆぶっ、ゆぐっ、ゆごげぇ……」 男の蹴りで、中枢餡が激しく揺さぶられ、れいむは激しい嘔吐感に襲われた。 男はすかさず、落ちている小石を拾い、次々とれいむの口に入れていく。 「えれえゆがぼごぼごぼご!」 吐き出そうとした餡子は、大量の口内の小石に阻まれ、その隙間からわずかに漏れるだけだった。 れいむが餡子を吐きたいのに吐けない。そんな苦しみを味わっている間、男はれいむの頭に手を置き、 まるで子供を褒めるときのように、なでなでし始めた。 ゆさゆさと揺れるれいむ。その頬は次第に赤く染まり、目はとろんとして、瞳が裏返っていく。 「ゆはー……ゆはー……ゆふんゆふんんほほほほほほ……」 苦しそうだった声は、次第に快楽を覚えた甘いものになっていく。 嘔吐感は無くなったと男は判断し、れいむの口内の小石を全て取り去る。 「ゆふぅ、ゆふぅ。お兄さぁん。れいむ何だかへんだよぉ……すっきりしそうだよぉ……」 れいむの肌は、欲情したときに分泌される、糖度の高い砂糖水に艶かしく濡れている。 下腹部からは、陰茎が、小さいながらも、つんと誇らしげに主張してきた。 その瞬間を、男は見逃さなかった。 頭をなでるのをやめ、立ち上がり、れいむの陰茎を踏み潰した。 「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 れいむは一際大きな声を上げる。 男が足を上げると、先程まで天高く怒張していた陰茎が、見るも無残な、つぶれた饅頭の皮になっていた。 「でいぶの、でいぶのべにべにが……たまのこしが……」 れいむは生殖器の喪失を、強烈な痛みで理解し、この世の終わりのように、絶望の声を上げた。 れいむは無能である。狩りができない。歌は周りのゆっくりを不快にさせる。 子育てもうまくできない。れいむ種ばかりをひいきするからである。 では、何故、れいむ種は絶滅しないのか。 れいむ種は他のゆっくり種、特にまりさ種を色仕掛けで誘惑し、妊娠し、責任をとってもらうという形で、無理やり結婚してしまうからである。 誘惑に乗ったという事実がある以上、相手は結婚しないわけにはいかない。 逆上して殺してしまえば、そのゆっくりは一生周りから迫害されるのである。 陰茎は裏返しで膣の役割も果たすので、このれいむはもう、一生妊娠する事が出来ない。 この瞬間、彼女の人生は永遠にゆっくりすることが出来ないものとなってしまった。 「ゆぐっ……ゆぐっ……」 まだ泣いているれいむを、男は上から右足で踏みつけた。 「ゆぶっ、ゆぶぶっ……」 頭の真ん中をつぶされ、頬が少し膨らむ。 しかし、死ぬ事も、餡子を吐く事も出来ない。男の踏む圧力は絶妙で、まるで万力でゆっくりと締め上げられているみたいだ。 ゆっくり、ゆっくり。少しずつ、本当に少しずつ力を加えていく。 れいむはひたすら泣き続けた。何故こんなことになってしまったのか。 母親の言いつけを破って、こっそり巣から出るんじゃあなかった。 人間に出会った瞬間、逃げればよかった。 こんな遠くまで来るんじゃあなかった。 れいむはひたすら後悔した。 涙がとめどなくあふれてきた。 死にたくない。こんな所で死にたくない。こんな何の意味も無い死に方はしたくない。 男はゆっくりと踏む力を強めていった。 6時間後。れいむはまだ生きていた。しかし、餡子は男の足と地面に挟まれ、激痛にもだえていた。 もだえつつ、れいむは今までの人生を反芻していた。 男は、腰にぶら下げてある袋からパンを取り出し、食べた。 12時間後。れいむはまだ生きていた。あたりは既に真っ暗。 「うーうー」 れいむの周りを、二匹の胴なしれみりゃが飛び回る。 餡子を少し吐き出していたので、その匂いにつられてやってきたのだろう。 しかし、大部分が男の足に邪魔されているので、なかなか食べる事が出来ない。 何分か飛び回った後、彼女達はそれぞれ、左右の頬に噛み付き、餡子をゆっくりと吸い取った。 左右から喪失していく記憶。中枢餡を圧迫する足。 この世のものとは思えない激痛に苦しみ抜き、やがて朝を迎えた。 れいむはまだ生きていた。れみりゃは餡子を吸い尽くし、既に居なくなっている。 周りの餡子は記憶を貯めるだけ。中枢餡が残っている限り、ゆっくりは死なない。 男は立小便をしながらも、しっかりとれいむを踏みつけていた。 周りの餡子がなくなった分、中枢餡への圧力はダイレクトに伝わり、夜よりも更に痛みに苦しむ。 「もう……じにだい……おねがい……じなぜで、じなぜでよぉぉぉぉぉ!」 れいむは懇願した。もう苦しみたくない。早く楽にしてほしい。 れいむはひたすら泣いた。泣いてお願いした。 しかし、男はその力を強めない。 24時間後、れいむはまだ生きていた。 48時間後、れいむはまだ生きていた。 そして72時間後、れいむはようやく死ぬ事が出来た。死因は餓死だった。 既存作 妊娠過程 食葬 ふたば系ゆっくりいじめ 7 浅瀬 ふたば系ゆっくりいじめ 8 鉄鍋 ふたば系ゆっくりいじめ 17 さとり ふたば系ゆっくりいじめ 19 賽の河原 ゲームあきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る れいむ4ね -- 2019-03-29 12 23 30 72時間立ち続ける男ヤバス飯と便所はどうしたよ(笑)Σ(゜Д゜) -- 2016-08-20 21 11 08 れいむwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww -- 2016-06-02 16 02 11 周りから白い目で..... -- 2016-01-14 16 03 43 たった一個如きに72時間も踏み続けるとかどんだけれいむがゲスな事したんだよ -- 2014-08-29 06 27 29 男が、命ッッ!のポーズで踏んでいる構図が浮かんでしまったんだがどうすればいいんだ? -- 2014-07-16 14 49 52 この人靴に石いれて置いといただけじゃね?あとれみりゃよりフランのほうが好きだな -- 2013-04-01 04 12 51 72時間=3日 3日も踏み続ける=超ヒマ人(´・ω・`) -- 2013-01-01 00 35 33 ぇ?この人72時間ずっと踏んでたの?汗 -- 2012-12-10 15 14 35 この人伝説だよ・・・ -- 2012-08-16 23 41 21 性器を潰したのは絶望を味わわせるためだろ -- 2012-02-23 21 38 11 72時間もやってるって最高に暇なやつだな -- 2012-02-11 13 00 29 立ち小便したとあるが、大のほうはどうした、お兄さん -- 2011-03-05 21 49 30 アストロンお兄さん…とか? 効果時間は三ターンならぬ三日だが -- 2011-01-15 23 00 30 しかもれいむを潰さないよう踏んでるから実質72時間片足立ちだぞ! さらにその間決して離さず潰さずと常に一定の力で踏み続ける! 虐待神様じゃ!! -- 2010-10-07 01 58 00 うーうー -- 2010-10-05 21 28 05 れみりゃかわいい -- 2010-09-21 02 41 45 だよな!まず男が何者なんだよwww しかし、わざわざ性器つぶした意味が無くなってしまったな -- 2010-09-04 18 34 01 72時間立ち続けてられる男の体力すげぇ!ww -- 2010-08-07 10 48 02
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今回の幻想郷探方は、里の商家街の外れにある『ゆっくり工房』。 ゆっくりを使った実用品が生産・販売されている。 店内は所狭しと並んだゆっくり。大小様々な品物が目に映る。 奥に佇むのは店主のお兄さん。弱冠23才で独立し、この工房を営む。 お兄さんに話を聞いてみた。 *始めにお伺いしたいのですが、これ本物のゆっくりなんですか? 「そうです。うちの商品は正真正銘、生のゆっくりを加工して作られております。」 *ゆっくりで商品開発したきっかけは? 「ゆっくりというのは、同じ種類は同じ顔をしているように見えて、実は様々な個性があるのです。 それを使う事によって、道具にもより個性を持たせる事が出来ると考えたのです。 茶器の紋様のように、同じ物は一つとしてありません。 お客様の用途・好みにあった、お客様だけの商品を探し出す事が出来るのではないかと思います。 *そう言われてみれば全部表情が違いますね。定番の「ゆっくりしていってね!」の顔もあれば、笑った顔も、ヘブン状態の顔もありますね。 このゆっくりれいむなんか泣き顔ですが。って言うか生きてますね。声出せないみたいだけど。 「それはゴミ箱ですね。生ゴミの。」 *いきなりディープですね。 「このゆっくりを可愛そうと思う方はゴミをなるべく出さないように心掛けるでしょう。 逆に、泣き顔に高揚感を覚える方はゴミを片付ける事が楽しくなりますよ。」 *ははあ。しかしゆっくりが可愛そうな人は、まず買わないと思いますよ。 …顔が上を向いているから、口からゴミを入れると考えてよろしいのでしょうか? 「そうです。消化器官を無理矢理体の下部に移動させているので、ゴミを吐き出す事もありません。 さらにこいつは生ゴミを自動的に消化してくれます。 ゴミを埋める為に庭に穴を掘る必要が無くなる、当店の人気商品です。」 *それは便利ですね。しかし髪とか、雑菌が沸きそうですが。 「髪はこちらの柄に取り付けて、モップとして使用します。」 *なるほどなるほど。素材の特性を生かし切っていますね。凄惨なまでに。 体が随分と硬いですが、何か別の素材を取り付けたんでしょうか? 「いえ、基本的には硬化剤で固めた、ゆっくり自身の体だけを使っています。 一部の顔を除いた外側と、底面以外の内側は完全に固めてあるので、そう壊れる事はありません。 二週間程度なら何も入れずとも生存可能ですし、万一死んでもそのまま焼却出来ます。」 *ほほう硬化剤。するとこちらの、完全に固まったゆっくりまりさも硬化剤のお陰というわけですね。 「それは小物入れです。帽子が蓋代わりで、中は空洞になっています。 なにしろゆっくりは生ものですから、腐るのを防ぐ為にも硬化剤は必需品ですね。 完全に固まると陶器に近い材質になります、その上を釉薬で覆っています。人体には無害ですから食器を作る事も可能です。」 *ティーカップも随分いろんな種類がありますね。これは生きたものは無いのですか? 「基本的には全部固めてあります。生きたままですと毎日の餌などが必要になりますし、洗浄も一苦労ですから。 尤も、お客様の中には熱いお茶を、ゆっくりの悲鳴と共に楽しみたいという方も多くおられます。 年配の方に多いですね。オーダーメイドで対応しております。」 *こちらは鍋でしょうか? 「これは野外用の食器セットですね。親ゆっくりの中にゆっくり一家全てが収納されています。」 *これは凄い。大鍋の中に二つの小鍋。さらには皿、コップまであるんですね。 「これは相当に難作業でした。つがいの親から子まで、全ての大きさがきちんと合う一家を探し出し、制作工程に一度の失敗も許されなかったのですから。 完全なセットを一揃え作るのに平均六家族は冥界送りにしましたね。」 *執念ですね。妄執と言っても良い。 ところでこちらの植物は何なのでしょう?下のゆっくりは鉢植えのようですが。随分苦しそうですね。 「見た通りの鉢植えです。 これはゴミ箱と同じように生きたままのゆっくりを使用しています。中の餡子に腐葉土を混ぜ、頭に植物を植えています。 餡子と腐葉土との混合比によって、ゆっくりの精神状態を変える事も可能です。口の杭を抜いて声帯機能を戻してみましょう。」 「ゆ~ゆ~ゆ~ゆ~ゆ~」 「うふふふふふ」 「ちんぽっぽ~ちんちんぽっぽ~」 「すっぱすっぱすっぱすっぱすっぱてんこっこ~」 「ヘェーエエーエエエエーエーエエーウーウォーオオオォー」 「ラララララァーアーアーナァオオォオオオオサウェエエアアアラー」 *完全にイッちゃってますね。 「こちらはまだ自我が残っていますよ。」 「れいむのおねがいね。もうやめてね。お花をとってね。おうちにかえしてね。」 「たすけてね。頭が痛いのね。窓を開けないでね!風がふくの!葉っぱがゆれるととっても痛いのおおおおおぉぉぉぉぉ!」 「頭に直接肥料を投与しても、ゆっくりに何か食べさせても、どちらでも植物に水と養分を与える事が出来ます。」 *そんな事も可能なんですか! 「舌の届く範囲なら害虫も食べてくれますし、なかなか機能的でしょう? 根が成長する初夏や、風の強い時など、大小様々な悲鳴を上げるゆっくりが楽しめます。 鉢植えそのものにも美を見出してこそ粋な園芸家というものです。 園芸がこんなに楽しいものだとは思わなかった、と嬉しい反響も頂いております。」 *多分それは園芸が楽しいのではないでしょうね。 まだほんの少ししか見ていませんが、これだけの商品を考えるのは大変だったでしょう? というかむしろ考えている時の精神状態のほうに興味がありますが。 「基本的にヘブン状態ですね。それとお客様の要望にヒントを得る事も多々あります。 特にゆっくりの被害にあった方が、捕まえたゆっくりを持ち込んで加工依頼する時など、思いも寄らぬアイデアに脱帽する事もしばしばです。 この道を突き詰める事が、生涯の目標です。」 …巧い具合にまとめっぽい発言が出てたところで、今回の幻想郷探方は一旦終了します。 次号は『ゆっくり工房』の続編、ゆっくり商品の製造過程を紹介する予定です。 By GTO ──────────────────────────────── 良い感じの名前を思い付いたので名乗る事にしました。 意味は例のアレです。 まるでそびえ立つ糞の様な一覧 白玉楼×ゆっくり系3 ゆっくり弾幕 阿求×ゆっくり系5 阿求の竹林遠征記 慧音×ゆっくり系2 慧音先生奮闘記_1 慧音×ゆっくり系3 慧音先生奮闘記_2 慧音×ゆっくり系4 慧音先生奮闘記 慧音エンド プリズムリバー三姉妹×ゆっくり系2 花見ライブin白玉楼 ゆっくりいじめ系427 原点回帰っぽく ゆっくりいじめ系507 原点回帰っぽい後編を目指したらわけ分かんなくなった 白玉楼×ゆっくり系4 妖夢とみょん ゆっくりいじめ小ネタ131 駄作三昧 このSSに感想を付ける
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「あぁ~、困ったなぁ…今日はここを離れられないっていうのに…」 ある一軒の家の中、少女は二つの理由から、少々困った状況に陥っていた。 その理由の一つは足元でスヤスヤと眠る五匹の赤ゆっくり――れいむ種が二匹とまりさ種が三匹――にある。 「この子たちが起きたら、餌とかオヤツ上げないとなんだけど……もうっ、こんなときに姉さんってば!」 そしてもう一つの理由、それは少女の言葉に出た姉のことだった。 急用といいつつデートに出かけた姉、その姉が出がけに私用を自分に押しつけたため、少し家を離れなければならないのである。 しかし赤ゆっくりたちはまだ本当に小さく、起きた時自分がいなかったり、餌がなかったりすれば不安から体調を崩す恐れがあった。 「隣のお兄さんに頼んでもいいんだけど……あんまり迷惑かけたくないしなぁ……ん?」 そう言って悩んでいると、ふと窓の外に気配を感じた。 なにかいるのかと思い、少女が窓を開けて縁側に出ると、そこには一匹のゆっくりれいむが座っていた。 「どうしたの、こんなところで?」 「ゆっくりしていってね! おねえさんがなやんでいたのがみえたから、れいむがちからをかすよ!」 人の家の敷地に入ってよくも勝手なことが言えると思ったものだが、相手の発言に興味を惹かれ、少女は問い返す。 「どういうこと?」 「ゆっ! おねえさんはそのこたちのめんどうをみたいのに、でかけなきゃいけないんでしょ! だったられいむがそのこたちのめんどうをみるよ!」 なるほど、ようするにベビーシッターを引き受けてくれるということか。 これが見知らぬ他人であれば少女も断っただろうが、相手は自分のペットと同じゆっくり、しかも子育てに定評のあるれいむ種だ。 それに会話の内容から考えても、良識あるゆっくりのようだ。家に帰った時に自分の家発言されることもないだろう。 「そう? だったらお願いしようかな」 「まかされたよ! おねえさんはゆっくりしてきてね!」 そうして、少女は赤ゆっくりたちの世話についてある程度の説明を残し、家をあとにした――。 【ゆっくりベビーシッター】 「ゆゆっ、おきたみたいだね! ゆっくりしていってね!」 少女がいなくなった部屋でしばらくのんびりとしていたれいむだったが、やがて赤ゆっくりたちが目を覚ましたことで、声を上げた。 それを聞いた赤ゆっくりたちは一瞬キョトンとしたが、会ったことのない他のゆっくりの存在に目を輝かせ、いっせいに挨拶をする。 『ゆっくりしていっちぇにぇ!』 挨拶を終えると、赤ちゃんたちは興味津々でれいむに近づいて、話しかける。 「おにぇーしゃん、だぁれ?」 「ここはれいみゅとおにぇーしゃんたちのおうちだよ?」 「ゆぅっ! しらにゃいゆっくちをいりぇたら、おにぇーしゃんにちかりゃれるよ!」 「でも、ゆっくちできしょーなおねーしゃんだよ!」 「ゆぅん…まりしゃもしょうおみょうよ!」 などなど、様々な反応が微笑ましくて目を細めながら、れいむは答えた。 「れいむはこのいえのおねえさんにたのまれて、みんなのおせわをしにきたんだよ! みんな、おなかすいてるでしょ!」 「ゆっ、ちゅいてりゅー!」 「おにぇーしゃんがごはんくれりゅにょ?」 「わーい、ごはんー!」 ぴょんぴょんと飛び跳ねて、ごはんをねだる赤ゆっくりたち。 ちょっと待っててね、と言い置いてれいむは隣の部屋へ跳ねていくと、少女に言われた餌とお菓子を探した。 説明されていた通り、棚の奥に置かれていた加工所製の柔らかいゆっくりベビーフードを乗せた皿と、口の開いた袋に詰められたクッキーを見つける。 「ゆっ! これだね!」 お菓子を口の中に入れ、皿を口で引きずり、れいむは急いで赤ゆっくりたちの元へ戻る。 「ゆっくりまたせてごめんね! ゆっくりたべてね!」 「ゆ~、ありがちょー、おにぇーしゃーん」 「ゆっくち、いちゃだきまちゅ!」 「む~ちゃ、む~ちゃ、ちやわちぇー!」 お礼を言ってすぐに皿に群がる赤ゆっくりたち。 しっかりと躾けられているのだろう、皿の周りに散らかすこともなく、舌で掬い取って口に運ぶとゆっくりむ~しゃむ~しゃと頬張り、しやわせ~と頬を緩める。 れいむもそれを見て、まるで我が子を見るように目を細めていたが、やがて自分もお腹が減ったことに気づいた。 「ゆぅ…おなかがすいたよ…」 けれど赤ゆっくりたちの餌を奪うわけにもいかない。 外に食べに行こうか、そんなことを考えたれいむは、口の中のお菓子のことを思いだす。 「ゆっ、そうだったよ! これがあったよね!」 ペッと口から袋をだすと、その中にはいくつもの甘いクッキーが入っていた。 たしか少女は、赤ちゃんには一匹三枚あげてね、と言っていた。 これだけあるのだから、一枚や二枚食べてもなくなりはしないだろうし、赤ちゃんたちも食べられるだろう。 そう考えたれいむは、餌を食べる赤ゆっくりたちに隠れて、クッキーをむ~しゃむ~しゃと口にしてゆく。 「ゆゆっ! あまいよっ、それにおいしいよ! む~しゃ、む~しゃ、しあわせー!」 「ゆっ! おにぇーしゃんも、ゆっくちむちゃむちゃちようにぇ!」 そんな会話をしながら食事は続き、餌はどんどんと減ってやがてなくなった。 れいむのほうもあと一枚、もう一枚だけとクッキーを食べ、どうにかお腹が落ち着いたところで赤ゆっくりたちが声を上げた。 「あちょはでじゃーとだにぇ!」 「おにぇーしゃん! れいみゅちゃちもくっきーもちょうだいにぇ!」 「ゆゆっ! わかったからならんでね! ゆっくりかぞえてわたしていくよ!」 袋から舌でクッキーを取りだし、一枚ずつ配っていく。 だがそこで問題が発生した。 「ゆっ? ゆゆぅ、どういうことぉぉっ!」 れいむが狼狽してそう叫ぶ。 それもそうなるだろう、袋には九枚のクッキーしか残っておらず、赤ゆっくり全員に三枚配ることができないのだから。 もっとも、それはなにも考えず、数も数えずにれいむがバクバクと食べてしまったからなのだが。 「ゆぅ…しかたないね。とりあえずくばるよ!」 やむを得ず、れいむは残されたクッキーを全員に配ってゆく。 だが――。 「ゆ~? これじゃちゃりにゃいよ!」 「おにぇーしゃん、いちゅもとおにゃじだけちょうだいにぇ!」 「まりしゃもれいみゅとおにゃじだけほちいよ!」 それらは赤れいむに三枚ずつ、けれど赤まりさには一枚ずつしか配られなかった。 足りないと気づいたれいむが、本能で自分と同じ赤れいむを贔屓し、集中して与えたせいである。 「ゆ~、あまあま~♪」 「ちあわちぇ~♪」 ホクホク顔でクッキーを口にする赤れいむ。けれど赤まりさたちは収まらず、れいむに向かって糾弾するように叫ぶ。 「おにぇーしゃん、まりしゃたちにもちょうだいにぇ!」 「いじわりゅちないでね!」 まさか自分が食べたせいだとも考えず、れいむは次第に苛立ち始める。 そしてカッとなって叫び返してしまった。 「うるさいよ! それだけしかないんだから、がまんしてたべてね! ゆっくりできなくするよ!」 『ゆぅぅっ!?』 ビクッと身を竦ませて、赤まりさは涙目になる。 しかしゆっくりできなくなるのはイヤだった、しかたなく、一枚しかないクッキーをサクサクと齧り、小さく呟く。 「む~ちゃ、む~ちゃ…ちゃりにゃいー」 けれど一枚では物足りない。 早々に食べ終えた三匹の赤まりさは、二枚目のクッキーを齧る赤れいむににじり寄り、残る三枚目のクッキーに齧りつく。 「むちゃむちゃ…」 「ゆっ! そりぇはれいみゅのだよ! まりしゃはじびゅんのをたべちぇね!」 「ゆぅっ、まりしゃのはちゅくなかったよ! れいみゅのをわけちぇにぇ!」 「ゆゆっ、じゅりゅい! まりちゃも!」 「まりしゃもほちいよ!」 「やべちぇぇぇっ! れいみゅのおちょっちょきがぁぁ!」 そうなるともはや阿鼻叫喚だった。 全員が全員が己の分を確保すべく、クッキーを取り合って、ポコポコと体当たりを繰り返す始末。 自分のせいでそうなったことも気づかず、れいむはオロオロとして、突如始まったケンカをどう止めようかと思案していた。 その眼前へ――。 「ゆべっ、ゆぅ…れいみゅのくっきーが…」 「ゆ~、あまあまをひちょりじめしゅるからだよ! む~ちゃむ~ちゃ」 一匹の赤れいむが跳ね飛ばされて きたことで、れいむはカッと頭に血が上った。 「ゆゆっ、なにしてるの!」 「ゆべぇっ!」 れいむが猛烈なタックルを繰りだして赤まりさを吹き飛ばす。 弾かれた赤まりさは、その前に自分が突き飛ばした赤れいむよりも遥かに強く飛ばされ、壁に勢いよくぶつけられてしまう。 「ゆぅ…ゆっくち、ちたかったよ…」 打ちどころが悪かったのだろう、口から餡子を吐きもらし、赤まりさは静かに息を引き取った。 それを見て驚いたのはほかの赤ゆっくりたちだ。 急に姉妹を失った悲しみに、全員が泣き声を上げる。 「ゆぅぅぅっっ! まりちゃぁぁぁぁ!」 「どうじでぇぇぇぇっっ!」 「ゆっ…ゆえぇぇぇぇんっっっ!」 「おにぇーしゃんのばがぁぁぁっ、どうじでごんなごどじゅるのぉぉぉぉっ!」 悲しみは怒りへと変わり、全員が赤まりさの仇とばかりにれいむに体当たりをし、罵倒を繰り返す。 「ゆっくちちね! ゆっくちちね!」 「おにぇーしゃんをころちたゆっくちは、ゆっくちちね!」 「れいみゅのおにぇーしゃんをかえちぇ!」 「ゆっくちごろちのごみくじゅ!」 それほど威力のない体当たりは、子ゆっくりと成ゆっくりの中間くらいの大きさであるであるれいむにはほぼノーダメージだった。 が、その言葉は沸点の低いれいむの怒りに火をつけるのに十分な威力を持っていた。 「どうじでぞんなこどいうのぉぉぉっ! ゆっくりしんでねっっ!」 「ゆべっ!」 「ゆぎゅっっ!」 怒ったれいむは手近な赤ゆっくりに体当たりをぶつけ、さらにそのさきにいたれいむの頬を噛み、遠くへ放り投げる。 それだけでは飽き足らず、のこった周りの赤ゆっくりにも体当たりを繰り返した。 「ゆっくりできないあかちゃんたちだね! そんなゆっくりはしんだほうがいいよ!」 手当たり次第に体当たりを浴びせると、赤ゆっくりたちは餡子を撒き散らしながら一匹、また一匹と絶命してゆく。 やがて残ったのは、かろうじて傷の浅かった赤れいむが一匹だけとなった。 そのころには興奮も冷めたのか、落ち着いたれいむは赤ゆっくりの様子を見て、驚きに目を見開く。 「ゆぅんっ! どうじであかちゃんがぁぁっ!」 どうしてもなにも自分でやったことなのだが、餡子脳は都合の悪いことなど簡単に忘れてしまう。 「ゆぅ…おにぇーしゃん、どうちて…」 残った一匹の赤れいむがそう訴えると、キッとそちらを睨み、さきほど自分がされたように罵倒する。 「ゆっ、おまえたちがゆっくりしてないからだよ! もうれいむはしらないよ、ここでのたれじんでね!」 「ゆぅぅぅっ!? どうじでぞんなごどいうにょぉぉぉっ!」 涙でボロボロにした顔を向けるが、れいむは背中を向けて、その場から逃げだそうとする。 それはもしかすると、餡子脳の奥に記憶していた自分の悪行が、人間にバレて制裁されるのを恐れての行為だったのかもしれないが――。 「たっだいま~♪」 「ゆぶぅっ!」 間の悪いことに、少女が帰宅してしまった。 「ありがとね~、れいむ! それから赤ちゃんたち~、ゆっくりといい子にしてたかな~……って、え……なに、これ?」 「ゆぅ…おかえりなさい」 「おにぇーしゃぁぁぁんっっ!」 戸惑った声で問いかける少女に、れいむは不貞腐れたようにそう答え、赤れいむは泣き叫びながら少女に飛びついた。 「あのおにぇーしゃんが、くっきーくれなくて! おにぇーしゃんをころちて! みんなころちたにょぉぉっ!」 「はぁぁっ!? ちょっと、れいむ! どうしてそんなことしたのよ!」 「ゆっ、ちがうよ! れいむはあかちゃんけんかをとめようとしただけだよ! おねえさんがこんなこをかっているからでしょ!」 この期に及んでもそんな言い逃れをし、逆ギレするれいむ。 けれど少女はそれほど怒った様子も見せず、とりあえず死んだ赤ゆっくりたちの残骸を片付けた。 部屋を綺麗にすると、赤れいむを撫でてやりながら、怒って威嚇するようにプクーッと膨らんでいるれいむに問いかける。 「それで、いったいなにがあったの?」 「わからないよ! くっきーをとりあってあかちゃんががけんかしたからとめたら! みんなこんなことになってたよ!」 ふーん、と鼻で相槌を返し、少女は今度は赤れいむに問いかける。 「なにがあったの? お姉さんに教えてね?」 「ゆぅぅん…あのにぇ、くっきーがちゅくなくて、とりあったらあのおにぇーしゃんが…ま、まりしゃをころちて…ゆぐっ、みんなころちたのぉ…」 双方の言い分を聞くに、クッキーが足りなくて赤ちゃん同士がケンカしたことは間違いなさそうだ。 それを止めようとしたれいむがやりすぎて、結果はこうなったというところなのだろうが…。 少女はため息をつき、れいむに問いかける。 「ねぇ、れいむ……あんた、袋に入れておいたクッキー、食べたんでしょ?」 「ゆっ、ゆゆっ!? し、しらないよっ! れいむはそんなのたべないよ!」 そう言って否定するれいむだが、少女はそれが嘘だと見抜いていた。 なぜなら、袋にはクッキーが十五枚ちょうどしか入っていなかったのだから。 だが、自分で入れ間違えたという可能性を考慮しないほど、少女は浅慮ではなかった。 そこで、れいむの口から真実を聞きだすため、一計を案じる。 「あのね、別に食べたことを怒ってるんじゃないのよ? ただ、大変だっただろうし、次に頼むことがあったらクッキーをもっと置いといてあげるから、 れいむだったら何枚くらい食べるのか、聞いておきたいな~って思ったのよ」 「ゆっ! そうなのっ!」 クッキーがもらえると聞いて、れいむは目の色を変えた。 すぐに口の中に涎が湧き、それを撒き散らしながられいむは叫んだ。 「ゆぅっ、れいむはくっきーたべたよ! あんまりおぼえてないけど、ふくろのなかからいーっぱい、むーしゃむーしゃしたよ!」 「へぇ~、やっぱりねぇ……そんなことだろうと思ったわよ! このクズ饅頭!」 「ゆぎゅぅぅっ!」 その言葉を聞いた途端、少女は柔和な笑顔を一転させ、般若のような表情で立ち上がると、れいむの頭を踏み潰した。 餡子が漏れるほどではないが、人の力で思いきり潰されたれいむの顔はひしゃげ、皮が引き裂かれるような痛みにれいむは悲鳴を上げる。 「ゆぶぅぅぅっ、どうじでごんなごどずるのぉぉぉっ! おねえさんのかわりにあかちゃんのおせわしてあげたのにぃぃぃっ!」 「はぁっ? なにが世話よ、クッキー貪り食って皆を殺したくせにっ……あー、もう、こんなバカ饅頭に頼んじゃうなんて、最低っ……」 ギリギリと脚の力を込め、中の餡子が漏れだすギリギリまでの痛みを、れいむの身体に刻みつける。 無様に泣き叫びつつも、少しでも動かそうものなら少女の足が食い込み、床と挟まれた身体が千切れてしまいそうになるので逃げることはできない。 それを見ていた赤れいむは、きゃっきゃっと笑い、少女の手の平かられいむに向けて罵倒をぶつける。 「ゆっゆっ、おにぇーしゃんをころちゅわりゅいゆっくちは、しょこでちんでねっ!」 「……どれ、ペロッ」 「ゆっ、くちゅぎゅったいよぉ、おにぇーしゃん♪」 少女は手の平で笑う赤れいむの頬を舐め、こびりついていた餡子を口に含んだ。 舌の上でトロリと蕩け、けれど脳が痺れるほどの甘さが口内に溢れる。 そうして少女は深いため息を吐き、その手を高く振り上げた。 「あ~あ、失敗かぁ……舌触りはいいけど、こんな甘いんじゃなぁ……」 「ゆぅ~? おにぇーしゃん、どうち…ゆぶべぇぇっっ!」 少女は勢いよく手を振り下ろし、手の平の赤れいむを叩きつけ、あっさりと殺した。 そして――後悔する。 「あちゃ……生ゴミ用のゴミ箱に捨てるんだった……不覚っ」 「ゆぅぅぅっ、かわいいあかちゃんがぁぁぁっ! なんでごんなごどずるのっ、ひどいことするばばあはじねぇっ!」 さっきまではゆっくりしてないだのなんだのと言っていたくせに、人間が暴力を振るうとすぐにこうである。 自分がしたことを綺麗さっぱり忘れてそんなことをのたまうクズ饅頭に、少女は冷たい視線を向ける。 「あんたのせいでこうなったんでしょうが……さて、責任とってもらおっかなぁ……」 「ゆぐぅっ、なんのぜぎにんんんんっっ? れいむはもうおうちかえるよぉぉぉっ!」 足元で喚くれいむの言葉は無視し、少女は開け放たれていた襖とは反対の、閉ざされていたノブつきの扉を開く。 すると――その先には。 「ま”り”ざあぁぁぁぁぁっっ、んほぉぉぉぉっっ!」 「れいぶぅぅっ、かわいいれいぶぅぅぅっっ! ずっぎりぃぃぃぃぃっ!」 「いやぁぁぁっ、ありすいやぁぁぁっっ!」 二匹の発情したありす種と、それに圧し掛かられて泣き叫ぶ、れいむ種とまりさ種の成ゆっくりの姿があった。 その地獄絵図と言うべき光景に、少女に踏まれたれいむは言葉もだせない。 やがて震えた声で、少女の機嫌を窺うように問いかける。 「お…おねえさん、あれ、なに…」 「あぁ、あれは饅頭生産機よ。あたしはね、店で売ってるようなしっとりした饅頭じゃなくて、紅白饅頭みたいなパサついた皮の饅頭が好きなの。 それに甘ったるい餡子じゃなくて、ほんの~り甘いだけの餡子のほうがね。だから赤ちゃんの頃からた~っぷりゆっくりさせて、餡子の甘味を抑え ながら、皮がパサつくように大人になるまで育てる……で、最期に苦痛を与えてちょっと甘くして食べるのが、あたしと姉さんの至福の瞬間なのよ」 身の凍るような少女のセリフに、れいむはブルブルと震え上がった。 少女はペットとして赤ゆっくりと飼っていたのではない、自分好みの饅頭を作る為の材料として育てていたにすぎないのだ。 「別に野生のでも変わんないとは思うけど、気分的にねぇ? 虫やら草やらは食べてすぐに餡子になるって言っても、そんなの食べてるのがヤだし。 ま、親も加工所でなに食べてたかわかんないけど、野生よりかマシでしょうから……あら、どうしたの、れいむ?」 少女の言葉をすでに聞いていなかったのだろう、必死で足の下から這い出ようと、れいむはもがき続けている。 そのいまにも千切れそうな饅頭に、少女は無言でさらに体重を乗せる。 「ゆぐぅぅっ、うごげないぃぃぃっ! れいむ、かえりたいのにぃぃぃっ!」 「はぁ? 帰らせるわけないでしょ、あんたにはここで饅頭生産機になってもらうんだから……もうすぐ死んじゃう、あの二匹の代わりにねぇ?」 「ゆっ…ゆぅぅぅっ、いやぁぁぁぁっっ!」 動けぬままで目の前の光景を見せつけられ、泣き叫んで拒絶するれいむ。 その目には、頭に茎を伸ばして黒ずんでゆくまりさとれいむの姿が、はっきりと映り込んでいた――。 あとがき 初投稿です。 ちょっとれいむが情緒不安定でしたかね? おそらく兄弟がいなくて、制裁の力加減とかわかんなかったんじゃないでしょうか? てへ☆ 拙い文ですが、お楽しみいただけていれば、嬉しいです。 作・あきほ このSSに感想を付ける
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「あかちゃんたち!! きょうもおうたをうたって、いっぱいおかねをもらおうね!!」 「「「「「もりゃおうね!!」」」」」 夏も終わり、秋もすっかり深まったこの頃、ゆっくりれいむの一家が、橋の上の中間あたりに陣取り、藁を敷いて座っていた。 この時期、ゆっくりたちは越冬に向けて、巣を作ったり、餌をため込んだりする大切な時期だ。 しかし、一家はそんなことをする様子は全くない。 いや、そんな時代遅れなことをする必要はなかったのだ。 最近、どこで覚えてきたのか、歌を歌って人間から金を貰おうとするゆっくりが増えている。 この一家もその類だった。 金をもらい、里で買い物をして、冬を越す。最先端ゆっくりの越冬方法だ。 成功率は限りなく低いが…… 「きょうも、きにょうのにんげんしゃんみたいに、いっぱいおかにぇをくりぇりゅかな?」 「きっといっぱいくれるよ!! きょうおかねをもらったら、にんげんのおみせでおいしいものをいっぱいかおうね!!」 目の前には、これまたボロボロで中身が少し残った缶詰が置いてあり、中には丸い金属がいくつか入っている。 ゆっくりの歌に金を払うアホがいるのか! と思うかもしれないが、実はこれ、金でもなんでもない。 一まん円と手書きで書かれたビンの王冠が、大量に入っているのだ。 昨日、この橋を通った子供たちが、一家をからかって入れたものだ。 一家は、すっかりこれを本物の金を勘違いし、調子に乗って、「ゆーゆーゆー……」と発声練習をしている。 喉もないくせに、スター気取りとは生意気なことだ。結局、人間のまねごとをしていたいだけなのだろう。 この時点で、この一家の命運は決まったようなものだ。 しかし、一家がそんな事に気付くはずのなく、一生懸命下手な発声練習に精を出していると、こっちに向かってくる男が目に付いた。 ロングコートを羽織ったまだ20代と思わしき男だ。 まだ冬ではないが、今日は冷たい北風が吹きすさび、心底身にしみる。男はコートの襟をたて、体を縮めて歩いていた。 一家は思った。あの男は、きっと橋を渡るに違いない。 「みんな!! にんげんがきたよ!! がんばってうたおうね!!」 子供たちにハッパを掛け、一列に整列させる。 男のほうに注目すると、案の定、男はこの橋を渡るようだ。 後数メートル。れいむたちは、男が目の前に来ると、一斉に男に声を掛けた……が、 「おじさん!! ゆっくりれいむたちのおうたをきいていってね!!」 「待って!! 虐男さん!!」 れいむたちの声に、女性の声が重なった。 れいむたちは、どこから聞こえてきたのだと、辺りを見回した。 すると、男が歩いてきた方向から、一人の女性が走ってきた。 どうやら、れいむたちの声を遮ったのは、あの女の人らしい。 男はちょうどれいむ一家の前で立ち止まると、女性のほうを振り返った。 どうやら、女性はこの男を呼び止めたらしい。 「はぁはぁ……虐男さん、お願い。話を聞いて!!」 女は男の元まで走ってくる。 男と違い薄着に軽く外着を引っ掛けてきただけだが、よほど全力で走ってきたのか、この寒い中、うっすら汗をかいている。 膝に手を付いて少し息を整えると、ようやく落ち着いてきたのか男に話しかけた。 しかし、それが面白くないのはれいむ一家だ。 この男に先に目をつけたのは自分たちなのだ。 この女は、きっと自分たちより先に、この男に歌を聞かせようという魂胆に違いない。 途中から割り込んできて、お客を横取りするなんて反則だ。れいむは女に文句を言った。 「おねえさん!! れいむたちが、さいしょにおうたをうたうんだよ!! ちゃんとじゅんばんをまもってね!!」 一家は頬を膨らましている。 しかし、女はそんなれいむを無視し……というか、気づいてもいないのか、目のくれない。 ひたすら男の顔だけを見ていた。 男も、そんな女の目を真摯に見つめている。 「愛で子さん……なぜここに来たんだ……」 「なぜって……あなたを追って来たに決まってるでしょ!! 話も聞かずに出ていくなんて!!」 「おねえさん!! ゆっくりれいむをむししないでね!!」 「話ならもう終わっただろ。所詮、僕と君とは永遠に結ばれない運命だったのさ」 「そんな……なんで!! なんでそんなこと言うの!!」 「むししないでねっていってるでしょ!! きこえないの!!」 れいむがどんなに叫んでも、女の耳には届かなかった。 「所詮、僕はゆっくり虐待お兄さん。そして、君はゆっくり愛でお姉さん。これがどうすればつり合うっていうんだ」 「そうよ。確かに、私は愛でお姉さんで、あなたは虐待お兄さん。本来なら、決して相容れない存在……」 「もういいよ!! あかちゃんたち、こんなみみのきこえないひとはほっておいて、おじさんにおうたをきかせようね!!」 れいむは、女を無視して、男に歌を聞かせることにした。 子ゆっくりを向いて、「せいの…」と小声で、合図を取った。 「そうだ、だから……」 「でも!! でも、例え立場は違っても、私たちは愛し合っていた。それは紛れもない事実よ!!」 「ゆ~ゆゆ~~ゆ~ゆ~ゆっくりしていってね~~~♪」 「……んん……それは……」 「それとも、愛し合っていたと思っていたのは私だけ? 私が一方的に、あなたを想っていただけなの? すべて私の独りよがりの恋だったの?」 「おじさん!! れいむたちのおうた、じょうずだったでしょ!! だから、おかねをちょうだいね!!」「「「「「ちょうだいね!!!!!」」」」」 短い歌も終わり、一家は男に金をせびる。 「それは違う!! 僕も君を心底愛していた!! 絶対だ!! 博霊の神に誓う!!」 「だったら……なんで!!」 「おじさん!! れいむたちはおかねをちょうだいっていってるんだよ!! はやくおかねをここにいれてね!!」 「愛で子さん、さっきも言ったけど僕はね、虐待お兄さんなんだよ」 「ええ……聞いたわ」 「おじさんまでれいむたちをむししないでね!! おうたをきいたんだから、おかねをいれないといけないんだよ!!」 「僕はそれを君に隠していたんだ、自分可愛さにね!! そして、君も僕に隠していただろ、自分が愛でお姉さんであることを」 「虐男さん……」 「そっか!! おじさんたち、もっとおうたをうたってほしいんだね!! わかったよ!! きょうはとくべつに、もういっかいおうたをうたってあげるね!!」 れいむは、男が自分たちの言葉を無視するのは、歌が短いからだと考えた。 決して、歌が下手だとは思っていなかった。 子ゆっくりたちに向かって、「もう一回歌うよ」と言って、再度合図をする。 「体が疼いて疼いて仕方がないんだ。ゆっくりを虐待しろってね。これは、僕のDNAに刻まれた本能なんだ」 「そんな……そんなのって!!」 「ゆっくり~~ゆっくり~~ゆ~っく~~り♪」 「事実だよ。呪いみたいなものさ。永遠に解けることのない呪いの鎖。この鎖が解けるとき、それは即ち僕が死ぬときだ。だから……僕は君といっしょにはいられない」 「う……うう……ぎゃ、虐男さん……」 「ゆんゆんゆんゆん♪ ゆ~んゆん♪ ゆっくりしていってね~~~♪♪」 「こんな僕の為に泣かないでくれよ。自分で君の前から去っておいてなんだが、君は本当に素敵な女性だ。僕がいなくても、すぐにもっと素敵な恋人が出来るよ」 「いやよ!! わたしは、虐男さん以外の男性なんて!!」 「おじさん!! これでいいでしょ!! ゆっくりおかねをおいていってね!!」 「あまり僕を困らせないでくれ。新しい恋人が出来れば、僕のことなんてすぐに忘れられるさ。 その時になって、こんな素敵な自分を振った馬鹿に男が昔いたなと、物笑いの種にでもしてくれ」 「いやよ!! いやいやいや……」 「おじさん!! これいじょうむしすると、れいむたちおこるよ!! ぷんぷん!!」 「愛で子さん……最後に僕の我儘を聞いてほしい。抱き締めさせてくれないか?」 「虐男さん……」 男はそう言うと、人目を憚ることなく、女を力いっぱい抱きしめた。 これが最後の我儘だと言わんばかりに…… 女も、男の抱擁に応え、男の大きな背中に腕をまわした。 男の胸元に顔を埋め、涙を流した。 その間にも、れいむ一家は、自分たちを無視して金を払わない男に、怒りの言葉を発している。 「ゆっくりなんて、存在しなければ良かったのに……」 「もうこれいじょうむしすると、おにいさんをやっつけるよ!!」 男の胸の中で、女がポツリと漏らす。 ゆっくりが居なければ、自分たちは愛でお姉さんにも、虐待お兄さんにもならなかった。 一生彼といっしょにいることが出来た。 すべてゆっくりがいたから、自分たちはこうなったのだ。 女は初めてゆっくりという生物に、強い怒りを覚えた。 しかし、そんな女を抱きしめたまま、男は首を横に振る。 「そんなこと言うもんじゃないよ、愛で子さん」 「でも!! でもっ!!!」 「もしかしておにいさん、おかねをもってないの?」 「僕たちが今あるのは、すべてゆっくりのおかげだということを忘れてはいけないよ。 ゆっくりが存在しなければ、僕はただの貧乏農家の長男として一生を終えていたはずさ。君だって似たようなものだろ。 しかし、ゆっくりのおかげで、僕は虐待製品の製造・販売を一手に握るブリーングオブスローリー・カンパニーの代表に、君はゆっくりんピース代表の娘になれたんじゃないか。 ゆっくりなしには、今の豊かな生活はあり得なかったんだよ」 「そうだけど……でも!!」 「おにいさん、びんぼうさんなんだね……かわいそうだね」 「それに、もしゆっくりが居なければ、そもそも僕たちは出会ってすらいなかったんだ」 「そ、それは……」 女も口を濁す。 男と女。立場が正反対の二人が出会ったのは、偶然だった。 男は虐待するためのゆっくりを探しに、女はゆっくりんピースの一員として、ゆっくりが本当にゆっくり出来ているかを調査するため、森に来ていた。 しかし、突然大雨が降り、雨をやり過ごすため手近の洞窟に入ったとき、偶然にも二人は出会った。 初め、二人は互いの素性を隠しあっていた。 虐待をする男はある意味当然だが、ゆっくりを愛でる人間も、その道を理解できない人には気持ち悪く映ることがある。 特に農家のなどのゆっくりを毛嫌いしている人間には、ゆっくりを愛でるゆっくりんピースを敵視している者さえいるのだ。 そのため、二人は素性を隠したまま、薄暗い洞窟の中で、雨がやむのをゆっくり待っていた。 二人の恋の始まりはそこからだった。 初めは、薄暗い洞窟の中に居たため、ただのつり橋効果が働いたのかもしれない。 しかし、洞窟の中で意気投合し、山を降りた後も素性を隠して何度か会っていくうちに、いつしかそれは本物の恋心に変わっていった。 二人は将来を誓い合い、お互いの家にまで行く仲になっていた。 しかし、今日男が女の家に行って、すべてが壊れた。 女は男に、今まで実家で家事手伝いをしていると言ってた。それ自体は、嘘ではない。 しかし、家のことは一切言っていなかったのだ。 ゆっくりんピース代表の娘。それが、女のもう一つの肩書だった。 女の両親とあった男。二人は知り合いだったのだ。それも最悪の方向で。 ゆっくりを虐待する代表と、ゆっくりを愛でる代表。今まで出会っていないはずはなかった。 楽しい会食になるはずが、一転、互いを罵り合う場となり、男は女の家を飛び出していった。 女は、すぐに男を追いかけようとするも、ゆっくりんピース代表である父に止められ、なかなか行かせてもらえなかった。 そんな父に生まれた初めて反抗し、服を引っ掛けて出てきたところで、話の最初に戻る。 「ありがとう、愛で子さん。少しの間だったけど、愛で子さんと一緒にいられて楽しかったよ。 これからは、お互い自分の道を歩んでいこう」 「虐男さん……」 「さようなら、愛で子さん」 「おかねがないならしょうがないね!! とくべつにこんないは、おかねをはらわなくてもいいよ!! ばいばい、おにいさん!!」 女を離し、最後のあいさつを済ませる。 これですべて終わった。もう思い残すことは何もない。 男は女に背を向け、家に帰ろうとした。 しかし…… 「虐男さん!!」 女はシッカリとした声色で、男を呼び止める。 もう女をのほうを向かないと決意した男だが、弱々しく女々しい声色から一転、迷いのなくなった女の声に、いったいどうしたのかと女のほうを振り向いた。 「愛で子さん?」 「虐男さん!! 私はどうしたって虐男さんのことを忘れられない!! だから……」 「……だから?」 「だから……私も今日から虐待お姉さんになるわ!!」 「!!!」 「おにいさん!! なんでかえらないの? ここはれいむたちのおうたのすてーじだから、おかねのないひとは、ゆっくりかえってね!!」 女の突然の発言に男は驚いた。 愛でお姉さんを辞めて、虐待お姉さんになる? そんなことが出来るはずがない。男は女の無謀な考えを改めさせる。 「馬鹿なことを言うもんじゃない。そんなこと、無理に決まっているだろ」 「やってみなくちゃ分からないわ!! 見ていてね!!」 女はそう言うや、横にいたゆっくりのほうに目を向けた。 ゆっくりは、さっきから何か言っていたようだが、女は全然聞いていなかった。 おそらく、邪魔だからさっさとここを退けとでも言っていたのだろう。 まあそんなことはどうでもいい。 女は手近に居たゆっくり赤ゆっくりに目を付けると、それを手に取った。 「ゆっ!? おねえさん、れいむのこどもをどうするの? ゆっくりはなしてね!!」 親れいむが、赤ゆっくりを返せと言っているが、女がれいむの言葉を無視し、赤ゆっくりを持った手を、男のほうに伸ばした。 そして、その手に思いっきり力を入れる。 プチュ 「ゆぎゃああああぁぁぁあ―――――!!!! れいむのあかちゃんがあああぁぁぁ――――!!!」 女は男の目の前で赤ゆっくりを潰して見せた。 それを見て、絶叫する親れいむ。 潰された赤ゆっくりは、悲鳴を上げる間もなく、女の手の中で息を引き取った。 「はあはあは……どう? 虐男さん!! 私もゆっくりを虐待して見せたわ。これで私も虐待お姉さんの仲間入りでしょ」 「なんでそんなことするのおおおおぉぉぉぉぉ―――――!!!!!」 れいむの悲鳴に反し、女は清々しいまでの笑顔を見せる。 これで自分は虐待お姉さんになった、これでこれからも男と一緒にいることができる。 しかし、男は無表情で女の言葉を切って返す。 「君はそれで本当に虐待お姉さんになったつもりなのかい?」 「えっ?」 「真の虐待師は、虐待をするとき決して震えたりしない!!」 「!!!」 女は自分の手を見た。 さっきから震えが止まらない。 今まで愛でお姉さんであったため、ゆっくりを殺害したことなど一度もない。 そのため、ゆっくりを殺した事に、鳥肌が、震えが止まらないのだ。 「た、確かに今は震えてるけど、虐待を続けていけば、その内震えることなんてなくなるはず!!」 「ふう……君は何も分かっていないようだね」 「分かっていないって?」 「虐待というものは、させられてするものじゃない。自分から進んでするということだ!!」 「!!!」 女は再度衝撃を受けた。 確かに、これは望んでしたことではない。 男と一緒にいるために、無理やりしたことだ。 しかし、こんなことで諦めるわけにはいかない。 ゆっくりんピース代表の娘が、ゆっくりを殺す。それも、次代のゆっくりを担う最高に可愛い子ゆっくりを殺したのだ。 もう後には引くことは出来ない。 「で、でも、そのうちきっと虐待が楽しくなってきて……」 「何よりね、愛で子さん。君がしたことは、虐待でもいじめでもないよ」 「えっ?」 「君がしたことは、ただの虐殺だ!!」 「!!!」 女は男の言葉に、三度目の衝撃を受けた。 自分のしたことは虐殺? 虐待と虐殺って何が違うの? 同じじゃないの? お父様がよく言っていたわ。虐待師は、ゆっくりを殺して回るって。 だから、私も赤ゆっくりを殺して見せたというのに。 それじゃあ、虐待って一体どうやればいいの? 女は、虐待と虐殺の違いがよく分からず、延々と考えを纏めあぐねていた。 男はそんな女を見て、仕方がないなと、苦笑いを見せる。 「愛で子さん。どうやら、虐待と虐殺の違いがよく分からないようだね。仕方がない、僕が一度手本を見せてあげるよ」 男はそう言うや、女と同じく、手近にあった赤ゆっくりを手にとって、女の前に掲げた。 「まだああぁぁぁぁ――――!!! れいむのあがぢゃんをかえじでえええぇぇぇ―――!!!」 男はミニトマトより少し大きい赤ゆっくりを、親指と人差し指で軽くつかむと、女の前で指に力を入れた。 「ゆびゃあああぁぁぁぁ――――!!! いじゃいよおおおおぉぉぉ―――――!!!」 男の指の中で、赤ゆっくりが悲鳴を上げる。 先ほどの、女がしたときは一瞬で殺され、悲鳴を上げる間もなかったが、男は熟練のテクニックで、赤ゆっくりを潰さないように、力を調整して入れた。 「やめでえええぇぇぇぇ――――!!!! でいぶのあがぢゃんになにずるのおおおぉぉぉぉ――――!!!」 「おねえぢゃんんんん――――――――!!!!」 「いもうどをはなじでええぇぇぇぇ――――――――――!!!!」 赤ゆっくりだけでなく、一家の絶叫までもが、橋の上に響き渡る。 しかし、本来の女ならそんな一家に手を差し伸べるだろうが、今日はそんなことを気にしている場合ではなかった。 「分かったかい、虐殺と虐待の違いが。君たちゆっくりんピースの人間は虐待と虐殺を混同しているようだが、それは大いなる間違いだ。 確かに素人の虐待師には、すぐに虐殺に手を染める輩もいないではない。しかし、我々のようなプロの虐待師は虐殺など決して行わない。 ゆっくりは生かさず殺さず、徹底的に肉体を、精神を破壊し、心が壊れても殺しはしない。 いや、精神崩壊を起こさせる虐待師など所詮は二流だな。真のプロは精神すら破壊させずに苛めて苛めて苛めぬく。 その過程を楽しむのが、一流の虐待師というものなのだ」 女は男の言葉に深い感銘を受けた。 今まで自分は、虐待師などゆっくりをただ殺害するだけの人種だと思っていた。 しかし、それは大いなる間違いだった。 ならば、自分もそれを実践して見せる!! 男が未だに子ゆっくりを虐待しているように、自分もやってみせる。 女は再び新しい赤ゆっくりをその手に持った。 そして、男のまねをして、親指と人差し指の間に挟み、赤ゆっくりに虐待をする。 プチュ 結果は先ほどとなんら変わらなかった。 なぜ? さっきと違って、力は抑えたはず!! 女は訳が分からず、再び赤ゆっくりを手をかけた。 今度は、さっきと違って、ほとんど力を入れなかった。 しかし、今度は赤ゆっくりの悲鳴が聞こえてこない。 いや、泣き喚く声は聞こえるのだが、痛がっているのではなく、女に殺されるのを怖がっての叫びだった。 これもある意味虐待だが、女は自分が虐待をしているということに気付いていない。 男も、あえて女にそのことを伝えなかった。 これではらちが明かないと、女はもうほんの少し指に力を入れた。しかし…… プチュ またしても、子ゆっくりは指の中で破裂してしまう。 「な、何で……」 「またれいむのあがぢゃんがああああぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――!!!!!!」 なぜ自分には出来ない? 男は未だ子ゆっくりに、あんなにも長く悲鳴を上げさせているというのに!! 女は分からず、地面に膝をついた。 「愛で子さん、これは今の君には到底無理な芸当なのだよ。 赤ゆっくりの皮というのは、とても儚く脆いものだ。今の僕と君の関係のようにね。 そんな赤ゆっくりに肉体的な虐待を加えることは、真の虐待師ですら容易なことではないんだよ。 僕が赤ゆっくりを殺さず力の調節を出来るようになるまで、今まで何百、何千というゆっくりを虐待してきたからこそ、身についた芸当なんだ。 一朝一夕で身に付くほど、虐待の道は甘くない」 これで、女も自分は虐待師にはなれないことを悟るだろう。 男はそう思っていた。 しかし、女の男への愛情はそれを上回った。 無理でも何でもやってみせる!! 自分にも、虐待が出来ることを証明してみせる!! 女は再び、赤ゆっくりを手に持った。しかし…… 「な、なんで? どうして? どうして、こんなに簡単にしんでしまうのおおおぉぉぉ―――!!!!」 「なんででいぶのあがちゃんをごろずのおおおおぉぉぉぉぉ――――――!!!!」 赤ゆっくりの皮は想像以上にもろく、女が何度やってみても、簡単に潰れてしまう。 ついに、れいむの傍には、すべての赤ゆっくりが居なくなった。 女は最後の希望にと、男の顔を見る。 男は女が何も言わずとも分かったのか、仕方がないというように、未だ指の中で絶叫を上げていた赤ゆっくりを、女に手渡した。 これが正真正銘最後の虐待だ。 男は簡単にこの赤ゆっくりを虐待してみせた。ゆっくりが悪いからなんて、底の浅い言い訳は出来ない。 神様。博霊の神様。私に虐待の力を!!!! 女は目を瞑り、神に祈りをささげると、赤ゆっくりに力を加えた。 プチュ 「あっ……」 無情にも、博霊の神様は、ご加護を授けてはくれなかったようだ。 女は、地に手を膝をつき、泣きじゃくる。 自分は虐待お姉さんにはなれない。かといって、ゆっくりを殺した自分は、もう二度と愛でお姉さんにも戻ることが出来ないのだ。 「うああああああああ―――――――――ん!!!!!!!!」 「でいぶのあがぢゃんがみんないなぐなっだよおおおぉぉぉぉ―――――――――――!!!!!」 女は泣きじゃくった。 子供のように、みっともなく泣きまくった。 愛する男の前だというのも忘れ、地面に蹲った。 男はそんな女の体を抱き上げると、ハンカチを出し、涙を拭いてあげた。 「わ、私は虐待お姉さんになれないばかりか、も、もう愛でお姉さんに、も、戻ることさえ……」 「大丈夫。これを見ていたのは僕だけだ。僕が黙ってさえいれば、誰にも分からないよ」 「そんなことじゃない!! 私は、愛するゆっくりを自分の都合のために殺しちゃったのよ!!」 「人間だれしも間違いはあるよ。それに他の動物団体、例えば、鳥や小動物の愛護団体の人だって、生態系に異常が出た場合なんかは、悲しさや悔しさを我慢して、処分したりすることもある。 所詮は人間のエゴで、生かされているんだ。ゆっくりだって同じことだよ。 だから、まだ君は愛でお姉さんに戻れる。まだゆっくりを愛しているだろ。この震えた腕が、何よりの証拠さ」 「虐男さん……」 二人は、抱き合った。 抱きしめ、人目もはばからず、熱い口づけを交わし合う。 まるで、世界が二人だけになったかのような錯覚に陥った。 しかし、シンデレラでいられる時間は長くない。 二人は惜しいと思いつつも抱擁を解き、互いを見つめ合うと、そのまま何も言うことなく、同時に背を向けた。 言葉に出さなくても、しっかり分かっていた。自分たちの楽しかった時間は、これで終わってしまったのだと。もう二度と、昨日には戻れないのだと。 明日からは、再び、前の生活に戻るだけだ。 男は虐待お兄さんに、女は愛でお姉さんに…… 二人は逆の方向にそれぞれ橋を下りていった。 「……れいむのあかちゃんがれいむのあかちゃんがれいむのあかちゃんがれいむのあかちゃんがれいむのあかちゃんがれいむのあかちゃんがれいむのあかちゃんが……」 後には、放心したような、ゆっくりれいむと、飛び散った餡子だけが残された。 これは、ゆっくりによってすれ違ってしまった、男女の悲しい物語である。 ~fin~ ……ごめん、マジでごめん。 なんでこんなの書いたんだろう。 こんなの書いてないで、早くとかいは(笑)ありすを書かないと。 今まで書いたもの ゆっくりいじめ系435 とかいは(笑)ありす ゆっくりいじめ系452 表札 ゆっくりいじめ系478 ゆっくりいじり(視姦) ゆっくりいじめ系551 チェンジリング前 ゆっくりいじめ系552 チェンジリング中 ゆっくりいじめ系 614チェンジリング後① ゆっくりいじめ系615チェンジリング後② いい夢みれただろ?前編 いい夢みれただろ?後編 このSSに感想を付ける
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いい天気ですねえ。 生い茂る緑。立ち上る入道雲。かしましく鳴く蝉たち。まさに夏真っ盛りといったところでしょうか。木陰の下、水辺にいても、満ちあふれるエネルギーは陰りを見せませんね。おお、暑い暑い。 しかし、あなたも釣りがお好きだとは意外でしたよ。なかなか理解されない趣味ですからねえ、これ。 え、他に誘ってみたんですか? ふぅん、そうですか。 群れの中で釣りに興味があるゆっくりというと、レティ種ですかね? 彼女の釣り好きは有名ですから。ワカサギ釣りのときに氷をぶち破った件は、衆知というか羞恥の出来事になってますし。 しかし、今は夏眠しているはずですよ。無駄足に終わったでしょう。違うのですか? レティじゃなくて。 長? 長を釣りに? 確かに長も休暇ですが、今度の収穫祭でやる演劇の台本を書いているはずですよ。役者との打ち合わせもこっそりやっているようです。何かと物議を醸す、特に参謀辺りが怒り出しそうな内容みたいですね。なんでわざわざ悶着起こすような……今に始まったことじゃないですけど。とにかく、長を誘ったのなら、それこそ無駄足でしたね。 こんな奇特な趣味を持つのは私たちくらいでしょう。それほど変だとは思いませんが、端から見たら時間の無駄でしょうからね。魚を得るのだけが目的なら、飛行種に任せておけば、いくらでもとは言いませんが、鮭くらいは捕ってきますし。 ……あー、いまの洒落は高度でしたか? まあ、あれですよ、単に魚が欲しくて釣りをやっているのなら、全ての釣り人は魚河岸へ向かわなくてはなりません。 そういうのじゃないでしょう、釣りの楽しみというのは。こうやってのんびり過ぎゆく時間に浸ったり、時折やってくる魚との駆け引きに熱くなったりするのがね、いいんです。漁獲の効率とは間逆にある価値観ですよ。手段こそが目的なんです。まあ、釣れるに越したことはありませんけど。 この沼で言うと、そうですね、ブルーギルなんて釣れますよ。幻想郷では珍しいでしょう。 食べてもそれほど美味しい魚ではないんですが、私は嫌いじゃないんですよ。威嚇するとき頬を膨らませるなんて、親近感湧きません? 海外から持ち込まれた魚で、在来種を食い散らかすというのも、野山の生態系を荒らす害獣としてのゆっくりそのものですしね。ええ、そう見る人間は多いのですよ、実際はともかく。 しかし、そんなブルーギルを放流したのは人間なのですがねえ。日本の釣り人が、力強く釣り糸を引くブラックバスやブルーギルを好んだわけです。日本の魚では物足りなかったのでしょうか。何だか角界を連想しますが、そうしてスカウトされた外来種は釣り人の期待に応えて繁殖し、今日も元気に日本の生態系をボロボロにしているのでしょう。 日本の釣り人が「自然を大切にね! キャッチ&リリース!」なんて言うのは、そう考えるとなかなかセンスあるジョークですね。見習いたいものです。 まあ、私たちは釣った魚はすぐに食べてしまいましょう。寄生虫などの耐性はありますよね? この前、カムルチーを生で食べてましたものね。ここは指定区域の外だから、いくらでも捕って、いくらでも食べることができますよ。 あ、釣りは苦手なんですか。ふふっ、そうですか。下手の横好きというやつですね。いやいや、構いませんよ。先ほども言ったように、釣果は問題じゃないんですから。 そうだ、良かったら、私の釣った魚を差し上げましょう。いいんですよ。気っぷの良さには定評がありまして。気前マルと呼んでください。 しかし、こうして沼を眺めていると、いろいろなことが頭に浮かびますねえ。人間には、こういうとき嫌なことばかり思い浮かぶので、音楽を聴いて紛らす事例は多いらしいですけど。あなたはどうです? え、私ですか? うぅん……そうですねぇ、やっぱりあのことでしょうか。 あー、ところで今日は何日でしたっけ? あはは、「時そば」をやるつもりはありませんよ。ただちょっと、ええ。 24日? そうですか……なるほど、思い出すわけです。 いえね、ちょうどこの日だったんですよ、あれがあったのは。「三方一両損」の話です。 私たちの群れにもいますから、ニトリ種のことは知ってますね。水に弱いとされるゆっくりの中でも、珍しく水棲の生態を持つ種です。 ええ、河童に属する性質を持っていると言われますが、あまり相関性はないんじゃないですか。私もカラス天狗の性質を有するとされてますけど、一切の面影がないでしょう? まあ、それはともかく。 目の前にあるこの沼、これよりもっと大きい湖沼にそのニトリたちは住んでました。いえ、「たち」と素直に呼んでいいものかどうか、少し説明が必要ですね。 「クダクラゲ」って知ってます? 知らない? そうですか。まあ幻想郷には海はありませんから仕方ないかもしれませんが、学問は必要ですよ。《無学は神の呪いであり、知識は天に至る翼である》。「ヘンリー六世」の一節です。 え? 「ヘンリー六世」も知らない? いやはや……確かに、太陽が地球の周りを回っていても不都合ありませんけどね。 話を戻しましょう。 クダクラゲは普通のクラゲとは違い、それぞれの個体がくっつき、群体を為す生態で知られています。単純な群れじゃないですよ。つながって、一つの生物のようになっているんです。 それぞれが遊泳、捕獲、消化、防衛に特化した機能を持ち、集団全体を生かすために生きるのです。生殖専門の個体もいるんですよ。「一心同体」を地でいく生物とでも申しましょうか。 ええ、それをやっていたんです。そのニトリ「たち」は。 ゆっくりは基本的に水に弱く、雨にしばらく打たれていただけで溶けて死んでしまう者さえいます。それは致命的な弱点であるのですが、あるニトリ種は水に強いだけでなく、その性質を利点として活かすことができるのです。 あなたは見たことがないでしょう。群れのニトリ種でできる者はまだいませんからね。身体に親水性を持たせ、水中で粘液状に広がるのです。 九割以上が水分で、半透明。とはいえ、それは紛れもなくニトリの身体であり、自在に動かせます。しかも意識的な変異もできる。顔だけお化けのくせに、複数の腕を生じさせた例もあります。「ニチョリ化」と呼ばれる能力ですね。 水が豊富になければできないことですが、逆に言えば水中においては無敵の力です。 その能力をさらに発展・応用して、彼女らはクダクラゲのごとく一体化しました。自在に身体を変形させる能力で、互いの身体を融合させることを考えつき、実行したのです。 水面を通して、ニトリたちが大樹と連なっているのは壮観でした。節くれ立った巨大な幹が、ほの暗い湖底へと続いており、思い思いに幹から伸びる枝は、ゆらゆらと不気味に蠢いているのです。その全ての部位ににやけ顔が無数に張り付いていました。青みがかった半透明の身体に、屈折した日の光が透過して……。 繁栄を妨げる者はいませんでした。それまでは魚や鳥が天敵でしたが、その状態になってからは、むしろ餌としていました。上空を飛ぶ鳥に向かって、水中から天高く触手を伸ばし、沼へと引き込むというのは、まさに「烏賊」という漢字がしっくりくる光景でしたね。それとも「飛ぶ鳥を落とす勢い」の方が適切でしょうか。 その沼は河童ゆっくりのユートピアだったかもしれません。ただ、あまりにも閉じた世界だった。彼女らはその沼地から少しも外に出ようとしなかったのです。そして、新しい種を取り入れようとしなかった。 常時水の中にいられるゆっくりは、ニトリ種をのぞけばスワコ種くらいのものですからね、彼女らの生き方に合わせられるゆっくりは確かにいません。しかし、それなら自分たちの生き方を周りに合わせる手段もあったはずです。陸上生活と水中生活に分かれ、ニトリ種だけは沼で結合して生きるとか、あるいは時間を掛けて耐水性を獲得させて、それから群体へと引き込むとか。でも、しなかった。 完全に一つの群体となる前は、沼の中だけで生殖していたようです。近親婚ですね。群体となってからは、分裂タイプの生殖で増えていきました。増える分には、それで問題ないわけです。 しかし、遺伝的にも文化的にも、新たなものを取り入れない閉塞は、必ず破綻へと向かっていきます。 まず食糧が足りなくなりました。目に付くものを際限なく食べていれば、当然そうなります。このままではまずいと反対意見を言う者がいませんでしたから、ただただ食べ続けたのです。沼はからっぽになりました。蛙の声さえ聞こえない、静寂の湖沼となりました。 それで、今度は川へと進出しました。そこにはまだ食べ物がありましたからね。しかし、餌を求めて山の外、森の領外にまで行ってしまいました。そう、人間と接触してしまったのです。 彼女らは人を恐れませんでした。実際、水の中の河童饅頭に対し、人間は何もできませんでした。動きは素早いし、たとえモリが当たったとしても千切れた身体はすぐに融合・再生してしまいます。「ニチョリ化」したニトリは、ほとんどアメーバみたいなものですから。それに、群体から見ればモリの一撃などかすり傷に等しい。 やりたい放題でしたね。釣り針に掛かった魚を横取りしたり、仕掛けの位置を動かして自分たちの物として使ったり、川遊びをする子どもたちのお尻に手を入れたり。 村人の怒りは相当のものでした。もともとゆっくりに対して、侮蔑的な感情を持っていましたからね。まあ、好印象を持つ人の方が少ないのでしょうけど、その村は筋金入りでしたよ。 村に入ってきた饅頭妖怪は問答無用で駆除。畑荒らしであろうと迷い子であろうとお構いなしです。視界に入ったら、とにかく虐殺。そして、死んだ饅頭は一口も食べずに埋めるという徹底ぶり。スタンダール風に言えば、「見た、殺した、捨てた」ですね。 かつて集団レイパーアリスに村を荒らされたことが、その異常なまでの嫌悪感の遠因らしいのですが、詳しいことは知りません。ゆっくりは人間に近しい妖怪ですが、その村の付近には一匹もいませんでしたねえ。 さて、そんな村人に対して、ニトリたちはさらに図に乗った行為を始めました。畑を荒らしたのです。 細長くした身体で用水路を通って、そこから陸地に触手を伸ばし、畑の農作物を盗むのです。村の畑の至る所が、粘液にまみれ、穴だらけになりました。 被害は甚大、怒りは心頭。では、村人はいかに? 何をしたと思います? 答えは「毒」。沼に大量の毒を流したのです。 川や用水路にまで進出したとはいえ、ニトリたちの本拠地は元いた湖沼でした。眠るときは必ずそこで、大樹のように一塊になっていましたから、そこを狙ったのです。 効果はてきめんでしたね。彼女らは苦しみ悶え、逃れようとした。しかし、沼の周囲から一斉に取り囲むように毒を流し込んだので、気づいたときにはもう遅く、連なる身体をのたうち回らせるしかできませんでした。その身体も、どんどん融解・崩壊していきました。 ゆっくりは個体によってさまざまな特徴があります。同じ種であっても、その性質に大きな差があったりする。毒への耐性も同じです。しかし、ニトリ種は分裂タイプで増えたため、その毒に対してまったく非力だった。耐性を取り入れることができなかった。全滅するしかなかったのです。 凄惨な光景でしたね。この世のものとは思えない様相……陳腐な表現かもしれませんが、他に適当な言葉が思いつきません。わずかに残った魚や蛙が腹を向けて浮いていたのもそうでしたが、何よりニトリ種の悲惨さは筆舌に尽くしがたいものがありまして。 断末魔の形に開いた口からは舌が垂れ、目は飛び出さんばかりに見開かれて苦悶の色を表していました。顔はこれ以上ないというくらい歪みきり、それら全体が溶けて破れた皮膚から漏れた体液と混じり、ぐしゃぐしゃに潰れているのです。無数に連なる全ての顔が、そのように地獄を映していました。 こうして沼のニトリ種は全滅しました──今日この日、7月24日の出来事です。 ニトリ種が破滅したのは必然だと言えるでしょう。 力があるからといって、全てが可能になるわけではありません。そして、敵を作ることは災厄を抱え込むことと同義なのです。 あなたも気をつけてください。「無知は罪」とまでは言いませんが、死ぬ理由としては十分ですから。「跳ぶ前に見ろ」というイギリスのことわざもあります。 話、続けていいですか? ええ、まだ続くんです。 ほら、この話は「三方一両損」でしょう。まだ「一方」だけですから。 湖沼に毒を流されて、「損」をしたのはニトリたちだけではありませんでした。山の神です。 普段は大人しい神さまで、百年以上は人前に姿を現さなかったのですが、流石に自分の足もとを毒まみれにされてはね。黙ってはいられないでしょう。 とてつもない「損」をもたらした不届きな村人。彼らに対し山の神は怒りを示しました。 大地を揺らし、地面を割り、山を崩し、岩を放る。口で言うと大したことがないように思えますが、自然災害の恐ろしさはあなたもよく知っているでしょう? そのレベルですから。 家は地震で崩れましたし、田畑は地割れで壊れました。山の幸は一切採ることはできなくなり、飛んでくる大岩に潰される者もいました。これが村人にとっての「損」です。ゆっくりに受けた被害の比でないので、先ほどは「損」とはしなかったのですよ。 さて、これでゆっくり・神・人間の「三方一両損」になるわけですね。ちょっと規模が大きい「一両」かもですが、看板に偽りなく、羊頭狗肉にならずに話を終えることができました。はい、どっとはらい。 おや、何か言いたげですね。何です? ああ、そうですね。私たちの群れがこの話に出てこないのは不自然です。 いや、もちろん関わってますよ。見ていたように語っていたのは、実際見ていたからです。私たちの群れは何度も移住をするでしょう? 以前の移住地の話なんですよ、これは。 ニトリたちの沼にはすぐ交渉しにいきました。同じゆっくり同士仲良くやりたいですし、たぐいまれな能力を有してますから群れに引き込めればもっと良かった。 長と私、そして護衛のチェン種とヨウム種が一体ずつ、計四人で行きまして。──すぐに追い払われました。とりつく島もないとはあのことです。言葉を交わしたのは、実質どれほどもありませんでしたよ。 大きな触手が何本も、蛇のようにうねりつつ襲ってきましてね、命からがら逃げてきました。お土産に数々の罵倒や揶揄の言葉もいただいて、いやあ、あれは本当に不愉快でした。おお、不快不快。 不愉快といえば、その後日もですね。大きなイノシシを仕留めた狩猟班が、その湖沼の近くを通った際、獲物を強奪されましたっけ。やはり触手が水面から飛び出してきまして。ヨウムたち狩猟班は素早く逃げ、事無きを得ましたが、獲物はまんまと奪われてしまいました。 その様子を物陰から眺めていたのですが、百キロを超えるイノシシが木の実でもたぐられるように軽々と宙を舞うのは、あまりのパワーに肝が冷えましたよ。 いや、その後の光景はもっと心胆を底冷えさせました。 イノシシがニトリの大木の幹にあたる部分に取り込まれてから、半透明の身体を通して、その消化される様が眼前で展開されたのです。 イノシシはゆったり回っていました。頭を上にして、くるっくるっと横に回転していました。そうして、どんどん姿形を変貌させていきました。 皮が溶け、黄色の脂肪が現れたかと思うと、鮮やかな桃色の筋肉が露出し、漏れ出す赤黒い血は霧散して、色とりどりの臓物が現れ……全てが溶け、太い胴体の獣は、瞬く間に白骨と化してしまいました。強力な同化作用です。その骨も、枯れ木のように折られ、砕かれ、そして溶かされて、跡形もなくなりました。 仮にですよ、私たちが交渉にいったとき、もしも、あの触手に捕まっていたとしたら……おお、怖い怖い。狩猟班も危機一髪でした。 後日、当然抗議しにいきまして、そしてやっぱり追い返されました。初めて交渉しにいったときのメンバーだったのも、デジャヴを感じましたね。やれやれです。 ええ、言いたいことはわかりますよ。 我々が率先して「損」をしている。つまり、「四方一両損」の方が表題としてふさわしいと。そういうことでしょう? まあ、その先を聞いてください。 自分の湖沼を毒まみれにされて、山の神はお怒りでした。 村人に毒を取り除けば許してやろうと言ったのですが、彼らにはどうすることもできませんでした。もともと河童饅頭を殺すことしか頭にはなかったのですから、その後のことなんてね。で、私たちの出番というわけです。 毒を吸収するメディスン種の能力を活用しつつ、中和剤を空中から散布しました。すると、なんということでしょう、瞬く間に湖沼は元の無毒の状態に澄み渡りました。匠の技です。 山の神はそれはもう大喜びでしたよ。こちらまで嬉しくなりましたね。 丁寧なお礼をいただき、そのうえ手厚くもてなされました。 あんなにたくさんの桃を食べたのは、産まれて初めてでしたねえ。ふふ、好きなもので、つい食べ過ぎてしまったんです。なにしろ山積みの果物です。食べ放題の食い倒れでした。驚いたことに、その中にはメロンなんてのもありましたよ。 はい? ……うんうん……おお、すごいすごい。 先ほどの疑問といい、あなたはなかなか洞察力がありますね。単純な知識量以上のものを持っています。 そうですよね。ずいぶんと都合のいい話です。 山の神にできなかった、そして作った村人にさえ無理だった毒の除去。なぜ横からポッと出の我々が、あれほど容易くやってのけられたのでしょうか。 種を明かせば簡単なことです。あの毒はですね、除去を前提として開発されたのですよ。何もしなければしつこく残留しますが、ちょっとしたコツですぐ取り除けるのです。そう、私たちが開発しました。 作ったのは村人ですよ。私たちから製法を聞き出してね。 どうか毒の作り方を教えてください、と頼んだわけじゃありません。さっさと教えやがれ!と脅したわけでもありません。そもそも、私たちが毒の製法を知っているなんて、彼らがどうしてわかるんです? 要は、たまたま聞きつけたんですよね。ゆっくりたちが毒についておしゃべりしているのを。それでそのまま物陰で一切を心に刻みつけたというわけです。陰に耳あり。 そのときのチェン種とラン種は、こんなことを言っていました。 〈さいきん、ぬまのにとりたちがとってもすごいらしいわ!〉 〈つよいんだね、わかるよー〉 〈にんげんなんかめじゃないらしいわよ。ひとひねりだって〉 〈にんげんさんがよわいのかもねー〉 〈むきゅ、そうかもしれないわね! だってなんにもてだしできないんだから!〉 〈ごたいまんぞくなのに、てもあしもでないんだね、わからないよー〉 〈ぐずなにんげんね!〉 〈だめなにんげんさんだね!〉 〈むっきゃっきゃっきゃっきゃっ〉 〈あっひゃっひゃっひゃっひゃっ〉 失礼。毒の製法が話題に出てくるのは、このだいぶ後です。 でも、なかなかの演技でしょう。さすがは「劇団シキ」の役者だと思いませんか。あ、私の口真似も上手かった? ありがとうございます。 ラン種の演じた役柄は参謀を参考にしたとのことですが、ええ、お察しのとおり、黒ゆっくりプロデュースです。 本人に発覚する前に、長は稀少種獲得の旅に出ましたがね。ホントにあの人のイタズラ好きには困ったものですよ。わざと参謀に内容を流す苦労を少しは理解してほしいです。いや、喜んでやりましたけど。 ともかく、この二匹の会話によって、村人は目的意識と手段の両方を手にいれました。このままコケにされてたまるか。毒を流しさえすれば殺せる。やれるのにやらなかったら、人間のコケンに関わる。あの沼のゆっくりに目に物見せてやる。 そして彼らは実行しました。山の神のことなんか考えもしないでね。 マンドレイクって知ってます? 魔法薬の材料などでポピュラーな植物なのですが、これを持ち帰るのが一苦労でしてね。引き抜くと恐ろしい悲鳴を上げて、それを聞いた者は死に至るのです。 では、どうするかというと、定番の方法として犬に引かせるやり方がありますね。自分は声の届かない遠くに離れていて、犬に合図を送る。当然、犬は死んでしまいますが、お目当ての物は手に入ると。 つまりは、まあ、そういうことです。 ニトリたちとの交渉も、行ったメンバーは群れの中でも素早さに優れる者たちでした。なぜ参謀でなく私が行ったのか、わかりますか。また、なぜ交渉決裂後に、狩猟班は湖沼の傍をわざわざ通ったのか、わかりますかね。 相手を敵と認識するため……。大義名分を得るため……。皆殺しの動機づけのため……。 共存できたはずなのですがね。仕方ありません。選んだのは、相手です。 さて、エピローグを語りましょうか。 私たちは湖沼を自由に使えることになりました。ニトリ種に食い荒らされ、毒で汚染された沼。その水産資源が元に戻るにはそれなりの時間と手間が掛かりましたが、山の神の手助けもあって、新しい年を迎えるころには良質の魚がたくさん手に入るようになりました。 山の神の庇護のお陰で、冬の食糧不足が一切なくなったのも良かったですね。山の隅々までご存じなだけあって、あなたこなたから色々な食べ物を持ってきてくれるのです。 寄りかかりっぱなしというわけにもいかないので、できるだけ自分たちの手で獲得し、労働に合わせた厳正な分配は維持しましたが、参謀が冬場の食糧について頭を悩ませない姿は、あのときくらいしか拝めませんでしたね。 村人との交易もなかなか有益でした。村人は山への立ち入りは禁止されていましたからね、山の幸は私たちが採って、彼らと物々交換したのです。 村人がゆっくりと交渉するのは変ですか? ウジ虫のごとく忌み嫌うゆっくりと対等なやり取りをするくらいなら、山菜やキノコなんて要らないと言うに決まっている? まあ、そうでしょうね。 しかし、私たちのバックには山の神がいますから。無下にすることは、そのまま災害が襲いかかることを意味します。 命とプライドを天秤に掛け、村人がどちらを選んだか──それはもう、彼らは聡明でしたよ。今、群れにあるたくさんの鉄器類は、そのとき手に入れたものです。 で、話を戻しますよ。 この話の表題ですが、やっぱり「三方一両損」で良いのです。 その三両は私たちの懐に入ったわけですから。 ね? まだ、言いたいことがあるのですか? この上何を……ふむふむ……おおっ! あははは、なるほど、素晴らしい。センスありますねえ。 そのタイトルの方がいいかもしれません。ダブルミーニングとは恐れいりました。 「両得」ですか。 ふふっ、今度からはそれを使わせてもらいましょうかね。「りょ・う・と・く」。うぅん、返す返す味がありますねえ。 いやいや、やはり大したものですよ、あなたは。才能の片鱗を見た思いです。原石がこんな身近に転がっているとはね。 よろしければ、私の傍で働いてみませんか? 少なくとも退屈しない毎日はお約束しますよ。答えは急ぎませんから、考えておいてください。 ところで──やっとわかりましたよ、あなたがなぜ長を釣りに誘ったのか。 恐らくどこかで、長は釣り好きだと耳にしたんでしょう。 まあ、間違ってはいませんけれども……長が好きなのは、そっちの釣りでなくてですねぇ… ぁ、引いてますよ、魚。 黒ゆっくり6 過去作 fuku2894.txt黒ゆっくり1 fuku3225.txt黒ゆっくり2 fuku4178.txt黒ゆっくり3 fuku4344.txt黒ゆっくり4 fuku5348.txt黒ゆっくり5 fuku5493.txtうやむや有象無象